FXニュース:春闘平均賃上げ率5.46%
2025年3月14日
東西FXニュース – 2025年03月14日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 欧米関税戦景気後退警戒
- 米PPI鈍化とインフレ圧
- 米EUワイン200%発言
- 米財務長官ドル調整容認
- 露ウクライナ停戦に疑問
- 欧米株価下落と日経上昇
- 独財政拡大策の合意報道
- 今夜米つなぎ予算案期限
今日2025年3月14日金曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の147円85銭付近から、円の安値でドルの高値の149円2銭付近の値幅約1円17銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は148円70銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の147円76銭付近の前東京終値比で約94銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、欧州ユーロ圏主要国ドイツのドイツ連邦銀行 (Deutsche Bundesbank) のヨアヒム・ナーゲル総裁が、英国国営放送BBC (British Broadcasting Corporation) で、「米国関税を考慮すると、ドイツ経済は2025年にリセッション (Recession / 景気後退) に陥る可能性がある」と発言したことを受けて、欧米報復関税合戦による欧州景気後退懸念が意識された欧州ユーロ売りの一方で、米国関税インフレ警戒による米国政策金利の先高観などから米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は昨夜20時台に一時4.342%付近に上昇しており、債券利回りを受けた金利差売買の欧州ユーロ売りドル買いも入った外貨影響が対ドル円相場に波及し、昨夜20時43分と46〜47分と50分頃にドルは円相場で一時148円23銭付近に反発上昇していた。
世界的な安全資産である米国債には安値からの買い戻しも入ったため、昨夜21時頃に米国長期金利が一時4.336%付近に上昇幅を縮小したことを受けては、まだ英国冬時間の英国ロンドン外国為替市場に対し先週末から米国夏時間になったことから欧州英国市場にとっては1時間早い昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は147円99銭付近の始値であった。
米国市場では、昨夜21時30分にインフレ関連の最新米国経済指標の2月米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI / Producer Price Index) の発表があり、前月比は前回0.4%が前回0.6%に上方修正されたものの市場予想の0.3%を下回る0.0%に下振れし、前年同月比も前回3.5%は前回3.7%に上方修正された一方で市場予想の3.3%を下回る3.2%で、気候条件などで価格変動の激しい食品とエネルギー除く物価基調の2月米国PPIコア指数も、前月比は前回0.3%が前回0.5%に上方修正されたものの市場予想の0.3%を下回るマイナス圏の−0.1%に低下し、前年同月比も前回3.6%は前回3.8%に上方修正されたものの市場予想の3.5%を下回る3.4%といずれも市場予想以下であったことでは、昨夜21時30分の発表時の1分間の値動きの中でドルは円相場で一時147円69銭付近に下落した。
しかし、昨夜21時30分に同時発表された雇用市場関連の最新米国経済指標の前週分の米国新規失業保険申請件数は、前回22.1万件と前回修正22.2万件と市場予想の22.5万件よりも堅調な22.0万件で、前週分の米国失業保険継続受給者数も前回の189.7万人と市場予想の190.0万人よりも強い187.0万人に改善されたことではすぐにドルの買い戻しが入り始めてドルは円相場で反発上昇した。
また、第二次ドナルド・トランプ政権の米国関税政策による米国インフレ圧への警戒感も根強く、先ほどの2月米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI / Producer Price Index) も、前回分では上方修正が相次いだことから今後修正される可能性もあるほか、個別項目では米国連邦準備制度理事会(FRB / Federal Reserve Board)が重視している米国個人消費支出(PCE / Personal Consumption Expenditure)物価指数に影響を与える品目が強かったことなどが指摘され、米国政策金利の先高観が続いたことでは、米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が再び上昇し、昨夜22時40分頃の一時4.354%付近の高利回りに向けたため、債券利回りを受けた金利差トレードの日米金利差拡大時の円売りドル買いが入り、昨夜22時10分頃にドルは円相場で一時148円36銭付近と、昨夜の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
また、この日には米国政府のドナルド・トランプ大統領が、「欧州連合(EU / European Union)が米国産ウイスキーへの追加関税を撤廃しなければ、EUからのワインやシャンパンなどの酒類に200%の米国関税を課す」と発言したことも市場で話題となり、欧米報復関税戦争への警戒感が高まったほか、米国提案のウクライナの30日間の停戦合意後に、「ロシアの交渉担当者は、米国の一時停戦案を拒否」という一部報道があり、ロシア政府の ウラジーミル・プーチン大統領も、米国が提案したウクライナとの停戦案について「一時停戦には同意するが、停戦については多くの疑問がある」と即時の停戦に至らない発言をしたことや、「紛争の根本的な原因を取り除くものでなければならない」と現在の一時停戦案の受け入れに自国に有利な条件を付ける姿勢を示したことなどから、地政学リスク再燃による欧州ユーロ売りドル買いも起き、昨夜22時30分前頃にはユーロドルも一時1.0823ドル付近と、米国市場および日通しのユーロ安ドル高をつけていた外貨影響の波及もあった。
しかし、米国関税政策の影響により欧米景気後退懸念や世界景気への悪影響が警戒される中で、第二次ドナルド・トランプ政策に起因する米国景気後退懸念の米国トランプセッション (Trumpcession / Trump + Recession) への警戒感に加えて、米国政府機関のつなぎ予算案の期限が翌日に迫るなどの米国内の懸念材料などもあり、米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の中でも金利に敏感な米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) が一時680ドル以上の大幅下落を見せて続落し、米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) と世界的なハイテク企業の比率の高い米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) も前日からの反落後に大幅安となり、米国主要株価三指数が揃って大幅に下落したことでは、米国主要株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で安全資産の米国債の買い戻しが入り、米国長期金利が午前2時45分頃の一時4.261%付近に向けて急落したため、債券利回りの日米金利差縮小時の円買いドル売りと低リスク通貨の円買いの影響で、対ドルの円相場が反発上昇し、午前2時33〜34分頃に一時147円41銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
この日の米国市場では、米国政府のスコット・ベッセント財務長官が、「最近の市場でドルが下落しているのは、自然な調整」であり、「懸念していない」とドル安容認の発言をしたニュースも話題になり、米国市場終盤のドルの買い戻し幅は今朝5時45分頃の一時147円82銭付近にとどまった。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の148円36銭付近から円の高値でドルの安値の147円41銭付近の値幅約95銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は147円81銭付近と、前営業日同時刻の148円25銭付近の前ニューヨーク終値比で約44銭の円高ドル安をつけた。
今朝早朝7時48分頃のアジア・オセアニア市場ではドルの買い戻しが入り、ドルは円相場で一時147円98銭付近に上昇していたため、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時147円92銭付近の始値であったが、今朝9時1分頃の日本市場時間の時間外の米国債券取引では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.277%付近に低下していた影響では、今朝9時1分頃にドルは円相場で一時147円85銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、日本市場では明日15日が土曜日の週末休みのため、今日が実質的な日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10が付く日の五十日 (ごとおび / ゴトーび) にあたり、日本企業の輸入実需の円売りドル買いが優勢になり、ドルは円相場で148円台に向けた上昇を始めた。
また、時差の近いアジア市場で中国政府の政策への期待感が高まり続落していた香港ハンセン株価指数などの中国株の買い戻しにつながりそうなニュースがあり、中国国務院新聞弁公室が来週3月17日に消費振興に関する状況を説明する記者会見を予定したことから内需関連などで恩恵見込みのある株を中心に買い予想が出た影響が波及し、今日の東京株式市場では今朝早朝にはマイナス圏で始まった日経平均株価がプラス圏になり、上昇幅を拡大したことでも、国内第一安全資産の低リスク通貨の円売りが起き、午後15時30分頃に今日の日経平均株価は3万7053円10銭の終値をつけ、前日比263円7銭高で大引けした。
同時に、米国関税インフレ圧の金利先高観も根強く、米国長期金利も今朝の一時の下げ幅を縮小し、昼過ぎに一時4.297%付近に上昇するなどしていたため、債券利回りの日米金利差拡大時の円売りドル買いも入っていたことなどから、ドルは円相場で上昇を続け、148円台を上抜けて一時149円台付近に向けていた。
夕方のニュースでは、日本労働組合総連合会が本日14日時点の760組合への会社回答をまとめた2025年春季労使交渉 (春闘) の第1回回答集計を発表し、基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給(定昇)を合わせた平均賃上げ率は5.46%で、約33年ぶりの高水準となった昨年2024年の5.28%よりも0.18ポイント上昇したが、先日話題になった組合の平均賃上げ要求の6.09%を下回っていたことでは、昨日の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の植田和男総裁の賃金上昇を伴う2%のインフレ目標の見通し実現に向けたタカ派寄りの発言を受けて昨日の日本市場で一時上昇していた日銀の早期追加利上げ予想がやや後退し、夕方からの欧州市場参入の影響もあり、午後16時25分頃にドルは円相場で一時149円2銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
一時149円台の市場高値後のドルには利益確定売りや市場終盤に向けた持ち高調整の円の買い戻しの抵抗が混ざったものの、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は148円70銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の147円76銭付近の前東京終値比では約94銭の円安ドル高になっていた。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜23時に3月米国ミシガン大学消費者態度指数の速報値などの発表を控えている。また、今夜が期限の米国政府のつなぎ予算案にも注目が集まる。
加えて、世界の株式市場と債券市場やコモディティ市場などの為替相場への影響や、欧州や米国などを含む各国の関税政策や、ロシアとウクライナ情勢などを含む世界情勢などのニュースと要人発言なども世界のFXトレーダー達が注視している市場予想材料となっている。一時の安全資産買いの影響では、コモディティの金価格上昇などのニュースも見られた。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は161円9〜11銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の160円56〜58銭付近の前東京終値比で約53銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、ロシアとウクライナとの長期停戦については不透明感と地政学リスクが燻るものの、今日は中国政策期待で香港ハンセン株価指数が久しぶりの反発を見せた中国株価上昇時の影響や、今日の日経平均株価が上昇して終えた日本市場の日本株価上昇を受けたアジア株価上昇時のリスク選好のリスクオンでは、低リスク通貨の円売りで欧州ユーロや英国ポンドの買い戻しが観測されたほか、今日の夕方の今年の春闘のニュースでは来週の日銀金融政策決定会合における日銀の早期追加利上げ予想が後退し、今月は金利据え置き予想が優勢になったことも円相場に影響を及ぼした。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は192円16〜22銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の191円41〜47銭付近の前東京終値比で約75銭の円安ポンド高であった。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0834〜1.0836ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の1.0865〜1.0867ドル付近の前東京終値比で約0.31セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、欧米報復関税合戦をはじめとする世界貿易戦争への警戒感では欧州景気後退懸念があり、またロシアとウクライナ情勢の先行きが不透明になったことから地政学リスクの影響もあって、リスクに比較的弱いと考えられている欧州ユーロが、米国長期金利上昇時には世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルに売られやすかった影響が燻っていた。
ただし、今夜の東京終値をつけたその後の欧州市場では、欧州ユーロ圏主要国ドイツで「独主要与野党と緑の党が財政拡大策で合意」という報道を受けた欧州ユーロの買い戻しが強まり、今夜19時台にはユーロドルが一時1.0912ドル付近と1.09台に上昇し、ユーロ高ドル安に市場反転を見せ、ユーロ円でも前日比で大幅な円安ユーロ高になっている。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年3月14日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の20時28分(チャート画像の時間帯は2025年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time / JST-9) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時28分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されることには注意が必要である。
通貨ペア | JST 20:28の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 148.69 〜 148.71 | +0.93 (円安) |
ユーロ/円 | 162.09 〜 162.10 | +1.53 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0899 〜 1.0901 | +0.0034 (ドル安) |
英ポンド/円 | 192.38 〜 192.44 | +0.97 (円安) |
スイスフラン/円 | 168.09 〜 168.15 | +0.50 (円安) |
豪ドル/円 | 93.75 〜 93.79 | +0.74 (円安) |
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