FXニュース:今週米FOMCと日銀会合
2025年3月17日
東西FXニュース – 2025年03月17日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 独財政拡大期待のユーロ
- 米消費者態度指数下振れ
- 米予想インフレ率が上昇
- 米政府つなぎ予算を延長
- 米主要株価三指数が上昇
- 日銀の金利据え置き予想
- 日経平均株価が大幅続伸
- 米露ウクライナ停戦会談
今日2025年3月17日月曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の148円47銭付近から、円の安値でドルの高値の149円10銭付近の値幅約63銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は148円85銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の148円70銭付近の前東京終値比では約15銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、先週の日本市場終了後の先週金曜日の夜の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、欧州ユーロ圏主要国ドイツの次期首相候補の独キリスト教民主・社会同盟 (CDU/CSU) のCDU (Christian Democratic Union) のフリードリヒ・メルツ党首が、独財政拡張案に以前は反対していた独環境政党の同盟90/緑の党 (Bündnis 90/Die Grünen)の合意を得たことを発表し、債務抑制を定める憲法にあたる独基本法改正に必要な3分の2を上回る賛成数により今月3月18日の独連邦議会で可決される可能性が高まり、独財政拡張政策実現の期待感によってドイツ連邦10年債の利回りが指標となる欧州長期金利が上昇し、欧州ユーロがドルなど主要通貨に対して買われて上昇した外貨影響の波及があり、先週金曜日の夜18時58分頃に一時149円付近に上昇していたドルは円相場で上昇幅を縮小したため、先週金曜日の夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は148円73銭付近の始値であった。
米国市場では、先週金曜日の夜23時に最新米国経済指標の発表があり、3月米国ミシガン大学消費者態度指数の速報値は、前回の64.7と市場予想の63.1を下回る57.9であったが、同時に発表された3月米国ミシガン大学消費者予想インフレ率では、1年先の予想インフレ率が前回の4.3%から4.9%に上昇し、長期予想でも前回の3.5%から3.9%と市場予想を超えて1993年以来の高水準に上昇したため、米国関税政策の影響によるインフレ圧なども改めて意識された。
同市場からは翌週にあたる今週には米国現地時間で3月18〜19日開催の米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) と同じく日本時間で3月18〜19日開催の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の日銀金融政策決定会合と、翌日3月20日のスイス中央銀行 (SNB / Swiss National Bank) と英国中央銀行 (英中銀 / BoE / Bank of England) の英中銀金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) となどの金融政策決定会合のイベントが相次ぐことや、今夜の2月の米国小売売上高などの最新米国重要経済指標のイベント週を控えた週末前の市場であったため、持ち高調整でもドルの買い戻しが入ったことでは、先週金曜日の夜23時5分頃に対ドル円相場は一時148円89銭付近と、この日の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
また、この日には期限寸前で米国連邦政府のつなぎ予算延長の法案が米国上院で可決される見通しになり、米国政府機関の一部閉鎖が回避される可能性が高まったリスク緩和感により、米国ニューヨーク株式市場では米国主要株価三指数が反発上昇し、米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) が一時700ドル以上の大幅な上昇に向けたほか、米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) と世界的なハイテク企業の比率の高い米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) も揃って上昇したため、米国主要株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) の安全資産売りで米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.325%付近に上昇後の債券利回りを受けた金利差トレードの円売りドル買いに加えて、低リスク通貨の円が売られた影響があった。
しかし、米国関税政策によるインフレ圧が意識される一方で、米国消費者態度指数が下振れしたこともあり、米国景気後退への警戒感もあったことでは、今週の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の市場予想では金利据え置き予想が約99%近い優勢さを保つ中で、FOMC後の米国国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム (ジェイ) ・パウエル議長の記者会見における今後の金利の見通しについての発言などが注目されており、米国景気懸念の影響では今年6月以降の0.25%の米国追加利下げ予想値が50%を超えるなど年内3回をほぼ織り込んだ相場水準になっていたため、イベント週を控えた警戒感では持ち高調整のドル売りも入り、米国夏時間移行後もまだ英国冬時間のため日本時間で午前1時頃のロンドン・フィキシング (London Fixing) 後に同時進行中の世界最大規模の英国ロンドン外国為替市場で主要取引通貨のドル売りによる外貨の買い戻しも入った外貨影響では、午前1時32分頃に対ドル円相場は一時148円26銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
その直前の午前1時25分頃には、ニューヨーク債券市場でもそれまでは4.3%台で推移していた米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.298%付近と一時4.2%台に低下した時間もあったことが、債券利回りの金利差トレードの日米金利差縮小時の円買いドル売りに影響を及ぼしていたが、午前1時40分頃には一時4.303%付近と4.3%台に戻して再上昇し、午前5時台の一時4.322%付近に向けたことでは、ドルは円相場で反発し、148円台後半の前営業日同時刻比で円安ドル高のニューヨーク終値に向けた。
このため、先週金曜日の夜21時頃から先週土曜日の朝5時55分頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の148円89銭付近から円の高値でドルの安値の148円26銭付近の値幅約63銭で、先週土曜日の朝5時55分頃のニューヨーク終値は147円64銭付近と、前営業日同時刻の147円81銭付近の前ニューヨーク終値比で約83銭の円安ドル高をつけて、週末を迎えていた。
週明けの今朝早朝のオセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時148円60銭付近の始値で、今朝9時1分と3分頃の一時148円47銭付近が今日の日本市場の円の高値でドルの安値となり、円相場が下落した。
原因は、まず先週に連合が発表した2025年春闘 (春季労使交渉) の第一回回答が5.46%と6.09%の平均要求は下回ったものの1991年以来の高水準となったことでは、「賃金上昇を伴う2%のインフレ目標」を掲げる今後の日銀の追加利上げ方向の維持が意識されていたが、週末の昨日3月16日の午前5時頃に日本経済新聞社や産経新聞などが、今週3月18〜19日の日銀金融政策決定会合では、「政策金利 (無担保コール翌日物レート) は0.5%で金利据え置きの見通し」で「前回1月会合で利上げを決めたばかりで、経済や物価への影響を注視する。米国の関税政策などに伴う世界経済の下振れリスクへの警戒感も強まっている」と報じた影響があり、新発10年物の日本国債の利回りが指標となる国内長期金利が低下した債券利回りを受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いがあった。
さらに、商品券配布問題を受けた石破茂総理支持率の急低下のニュースがあり、今朝の参院予算委員会で、首相公邸で会食した自民衆院議員15人にそれぞれ10万円の商品券を配布した問題について「社会通念上、世の中の感覚と乖離した部分が大きかったと痛切に思っている。大変申し訳ない」と謝罪したが、自民党内からは「高市早苗氏がふさわしい」という「石破総理交代」論まで出ていたという一部報道の影響があり、もしも高市早苗氏が総理になる可能性が出る場合には、日銀が今後の追加利上げをしにくくなるのではとの観測もあり、国内の経済と物価はおおむね想定通りに推移しており、日銀の早期の追加利上げ予想が後退していたところに、今後の追加利上げが政治要因でやりにくくなる可能性もあればと金利警戒感の緩和からは日経平均株価が上昇したが、国内長期金利は前営業日比で低下した。
日本市場では今朝の仲値決済でも、日本企業の輸入実需の円売りドル買いが優勢だった。
今日の東京株式市場では、日経平均株価が上昇したまま堅調な推移を見せたことでも、日本株価上昇時のリスク選好のリスクオンで国内第一安全資産の低リスク通貨の円がドルだけでなく欧州ユーロなどの主要通貨に対しても売られたため、午後15時7分頃に対ドル円相場は一時149円10銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
午後15時30分頃には、今日の日経平均株価は3万7396円52銭の終値をつけ、前日比343円42銭高で大引けし、続伸となっていた。
また、今日の午後の世界ニュースでは、英国ロイター通信 (Reuters) などが、米国政府のドナルド・トランプ大統領がロシア政府のウラジーミル・プーチン大統領と3月18日に協議し、米国が提示したウクライナとの一時停戦案について話し合う方針であることを明らかにしたという報道が話題になり、夕方からの欧州市場ではウクライナ情勢による地政学リスクの後退が意識されたことでも低リスク通貨の円売りと欧州ユーロ買いが起きた影響があったが、欧州ユーロは世界的に流動性が高いことから安全資産でもあるドルに対しても買われたことでは、ドルは円相場で一時149円台から148円台後半へと上昇幅を縮小した。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は148円85銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の148円70銭付近の前東京終値比で約15銭の円安ドル高になった。
ただし、欧州ユーロに対するドル売りの外貨影響の波及や、今夜この後に最新米国重要経済指標発表のイベントを控えるイベントリスクでは、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、今夜20時台のドル円は前東京終値比で小幅な円高ドル安にも転じている。
今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に重要景気指標の2月米国小売売上高と、同時刻に3月の米国ニューヨーク連銀製造業景気指数の発表予定があり、続いて今夜23時に3月の全米住宅建設業者協会 (NAHB / National Association of Home Builders) 住宅市場指数と1月米国企業在庫などを控えている。
加えて、世界の株式市場と債券市場やコモディティ市場などの為替相場への影響や、欧米を含めた各国の政策影響とウクライナ情勢などを含む世界情勢などのニュースや要人発言なども、世界のFXトレーダー達が注視する市場予想材料となっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は161円89銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の161円9〜11銭付近の前東京終値比で約80銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、独財政拡張案の期待感やウクライナ和平に向けた米露首脳会談を控えた地政学リスク緩和などを受けた欧州ユーロ買いが低リスク通貨の円や世界的な流動性に高さから安全資産でもあるドルに対して起きた影響があった。
そのため、ユーロドルも、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0876ドル付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の1.0834〜1.0836ドル付近の前東京終値比で約0.42セントのユーロ高ドル安になった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は192円55銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の192円16〜22銭付近の前東京終値比で約39銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、国内長期金利低下や日経平均株価続伸と欧州周辺の地政学リスク緩和期待を受けたリスク選好のリスクオン市場では、国内第一安全資産の低リスク通貨の円売りに対し、リスクオン市場で買われやすい欧州ユーロと英国ポンドや豪ドルも上昇した。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年3月17日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の20時13分(チャート画像の時間帯は2025年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time / JST-9) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時13分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されることには注意が必要である。
通貨ペア | JST 20:13の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 148.41 〜 148.43 | −0.29 (円高) |
ユーロ/円 | 161.86 〜 161.88 | +0.77 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0904 〜 1.0906 | +0.0070 (ドル安) |
英ポンド/円 | 192.50 〜 192.56 | +0.34 (円安) |
スイスフラン/円 | 168.13 〜 168.19 | −0.07 (円高) |
豪ドル/円 | 94.20 〜 94.24 | +0.52 (円安) |
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