FXニュース:日銀政策金利0.5%維持
2025年3月20日
東西FXニュース – 2025年03月18日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 露宇と中東地政学リスク
- 米トランプ関税政策注視
- 国内経済物価動向見極め
- 日銀植田総裁の発言影響
- トルコ政情不安リラ急落
- 低リスク通貨としての円
- 米FOMCと議長発言控え
今日2025年3月19日水曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の150円3銭付近から、円の高値でドルの安値の149円14銭付近の値幅約89銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は149円34銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の149円83銭付近の前東京終値比では約49銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の昨夕の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、欧州ユーロ圏主要国ドイツで独連邦議会の下院で国防費増額などのための財政出動に必要な独基本法(憲法に相当)の改正案が賛成多数で可決されるなど独財政拡張政策期待などの影響から欧州ユーロ買いドル売りが先行したため、ユーロドルが一時1.0955ドル付近とおよそ5カ月ぶりの今年最大のユーロ高ドル安を記録した外貨影響が対ドル円相場に波及したことでは、昨夜20時17分頃にドルは円相場で一時149円56銭付近に下げたため、欧州英国市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は149円75銭付近の始値であった。
米国市場では、昨夜21時30分に複数の最新米国経済指標の同時発表があり、米国住宅関連の景気指標となる2月米国住宅着工件数は、年率換算件数が前回の136.6万件と前回修正の135.0万件と市場予想の138.5万件を上回る150.1万件に上昇し、前月比も前回マイナス圏だった−9.8%と前回修正の−11.5%と市場予想の1.4%を上回るプラス圏の11.2%に大幅に改善され、2月米国建設許可件数は、年率換算件数が前回の148.3万件と前回下方修正の147.3万件と市場予想の145.0万件に対し145.6万件と前回よりは減少したものの市場予想以上で、前月比は前回0.1%と前回下方修正の−0.6%と市場予想の−1.6%に対し−1.2%と、いずれも市場予想以上で、安全資産の米国債売りが起きた。
同じく発表された2月米国輸入物価指数も、前回の0.3%と前回修正の0.4%と市場予想の−0.1%に対し0.4%で、2月米国輸出物価指数は前回の1.3%と市場予想の−0.2%に対し0.1%であったが、いずれも市場予想以上の指標となり、米国関税政策実施前の2月の段階から既に市場予想以上の輸出入物価のインフレ圧があったことも意識されたことなどでは、発表を受けた昨夜21時35分頃には米国債券市場で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.339%付近に上昇し、債券利回りを受けた日米金利差拡大時の円売りドル買いが入り、また米国輸入インフレ警戒感による米国政策金利の先高観などによる金利差予想でもドルが買われたため、昨夜21時38分頃にドルは円相場で一時149円94銭付近と、昨夜の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、今夜この後の翌米国市場では時差先行の日本時間で明日未明に米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の米国新政策金利と声明と金利・経済見通し (SEP / Summary of Economic Projections) の発表とジェローム (ジェイ) ・パウエル議長の発言のイベントが注目されており、また日本でも3月18日〜19日開催の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の日銀金融政策決定会合の発表と植田和男総裁の発言イベントのイベントリスクを控えていた昨夜の米国市場であったため、150円台手前からは市場高値後のドルの早期の利益確定や持ち高調整や様子見の買い控えなどの抵抗が入り始めた。
続いて、昨夜22時15分に発表された2月米国鉱工業生産の前月比も、前回の0.5%と前回修正の0.3%と市場予想の0.2%を上回る0.7%で、同時発表の2月米国設備稼働率も前回と市場予想の77.8%と前回修正の77.7%以上の78.2%に上昇したが、日米金融政策イベントを控えたイベントリスクの様子見姿勢が強まっていた。
また、米国ニューヨーク株式市場では、米国政策金利先高観への警戒感などから、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) が下落し、米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) も揃って下落したマイナス圏の推移を見せたことでは、米国主要株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) により安全資産の米国債に買い戻しが入った影響などで米国債券価格上昇に伴う利回り反落が起き、午前3時20分頃に米国長期金利が一時4.274%付近にまで急落すると、債券利回りを受けた金利差トレードの円買いドル売りと、株価リスク回避の低リスク通貨の円買いの影響などにより、午前3時34分頃にドルは円相場で一時149円10銭付近と、同米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
市場高値後の円の利益確定売りや持ち高調整のドルの買い戻しも入り始めたが、その一方で、この日の米国政府のドナルド・トランプ大統領とロシア政府のウラジーミル・プーチン大統領が電話協議では、ロシアとウクライナの停戦についてウクライナのエネルギー施設やインフラへの攻撃を30日間停止することで合意したことではやや期待感が高まったものの、全面的な停戦には未だ至っていないことへの警戒感も燻り、また中東情勢では、イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザに大規模攻撃を再開した地政学リスクにより、世界的な安全資産である米国債買いや、低リスク通貨の円買いが入った影響も為替相場に影響を与えたため、市場終盤のドルの買い戻しは今朝5時38分頃の一時149円39銭付近に留まった。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の149円94銭付近から円の高値でドルの安値の149円10銭付近の値幅約84銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は149円27銭付近と、前営業日同時刻の149円21銭付近の前ニューヨーク終値比で約6銭の小幅な円安ドル高であった。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時149円44銭付近の始値で、今朝9時55分頃の日本市場の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買いが入ったことでは、今朝9時57分頃にドルは円相場で一時149円65銭付近に上昇した。
今日の正午前後頃の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の日銀金融政策決定会合の発表と伝えられていたが、今回は9人の日銀政策委員が全員一致ということで、今朝11時25分頃に日銀金融政策決定会合が市場予想通りの0.5%程度の国内政策金利の無担保コール翌日物金利の誘導目標を据え置きと現状の金融政策の維持を決定したと発表した。
その理由として、声明文では「各国の通商政策などの動きやその影響を受けた海外経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など日本の経済・物価をめぐる不確実性は引き続き高い」と第二次ドナルド・トランプ米国政権の関税政策の影響や世界景気の下振れリスクと日本国内の経済・物価動向を慎重に見極めるとし、日銀は今年1月の追加利上げ後の様子見姿勢を示しており、市場予想で優勢であった通りの金利据え置きとなった。
午後15時30分頃から日銀の植田和男総裁のライブ中継の記者会見の発言が始まり、今後の追加利上げ時期に関する発言が注目されていたが、「米関税政策は不確定な面が大きい」など世界経済の不透明感への警戒感もあり、具体的な次回の追加利上げ時期などのタカ派発言が出なかったことでは、午後15時43分頃に対ドル円相場は一時150円3銭付近と、一時150円台に円相場が下落し、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、春季労使交渉 (春闘) における賃上げや物価動向などは、日銀のオントラック (On track) の想定に沿っているとして、経済が見通し通りに推移すれば、今後も日銀の追加利上げ方向維持は示唆しており、「4月初めにはある程度出てくるかもという状況で、次回会合や経済・物価情勢の展望である程度消化できる」などの発言による円の買い戻しも入り、「賃上げの動きが広がっている」ことや「経済・物価見通しが実現していくとすれば、金融緩和度合いを調整していく」とし、「次回利上げのタイミングは、今後のデータ・情報次第」などと語っていたが、先日に米国のドナルド・トランプ大統領が「日本は円安政策を取っている」と責めていたことに関しては、「ノーコメント」としていた。
また、今日の世界ニュースでは、トルコ政府で20年以上に渡る政権を持つレジェップ・エルドアン大統領が、トルコ主要野党の共和人民党 (CHP) が対抗馬として次期大統領候補に近々選ぶ予定だった政敵であるイスタンブール市長のエクレム・イマモール氏を汚職とテロ組織への資金提供などの容疑で拘束したと伝わり、CHPが「次期大統領へのクーデター」と反発するなどの政治不安により、トルコの主要株価や通貨のトルコリラが急落する事件が起き、世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルや低リスク通貨の円に対して一時暴落の値動きを見せた外貨影響の円相場への波及があり、世界市場にも警戒感が広がったことでは、トルコは地理的に東欧方面の欧州ユーロ圏と近いこともあり、日銀総裁の発言後にも買い戻されていた低リスク通貨の円買いが対ドルだけでなく対ユーロなどでも勢いを増し、一時はトルコリラに対して低リスク通貨の円が過去最高値を記録し、夕方からの欧州市場の参入後の午後16時41分頃に対ドル円相場は一時149円10銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録し、前東京終値比で円高ドル安の今日の東京終値に向けた。
東京株式市場でも、今朝の日銀の金利据え置きを受けて一時は大幅に上昇していた日経平均株価が午後に反落し、午後15時30分頃に3万7751円88銭の終値をつけて、前日比93円54銭安で大引け後し、株価下落を受けた国内第一安全資産の低リスク通貨の円買いがあったほか、今夜この後の日本時間の明日未明には米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の米国政策金利発表と今後の見通しや米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長発言のイベントリスクなどもあるため、今日の日銀のイベント経過後の今後の日銀の追加利上げ方向維持の低リスク通貨の円に買い戻しが入りやすかった。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は149円34銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の149円83銭付近の前東京終値比では約49銭の円高ドル安になった。
ただし、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、今夜20時台にドルは円相場で下げ幅を縮めて、前東京終値比で横ばいレンジ付近にも反発を見せている。
今夜この後の米国市場では、米国政策金利の発表イベントや要人発言と最新米国経済指標の発表などが予定されており、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、27時に米国連邦公開市場委員 (FOMC) の米国政策金利と声明発表と、同時刻に米国政策金利と経済見通し (SEP) が公表され、続いて27時30分頃から米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム (ジェイ) ・パウエル議長の定例記者会見での要人発言のイベントが注目されている。また、29時には1月対米証券投資なども発表される予定である。
加えて、世界の株式市場と債券市場やコモディティ市場などの為替相場への影響に加えて、欧米を含めた各国の政策影響とウクライナ情勢や中東情勢などを含めた世界情勢などのニュースや要人発言なども、世界のFXトレーダー達の市場予想の材料となっている。
他にも、南米ブラジルでも、30時30分にブラジル中央銀行 (Banco Central do Brasil) の政策金利発表を控えるほか、明日3月20日にはスイス中央銀行 (SNB / Swiss National Bank) と英国中央銀行 (英中銀 / BoE / Bank of England) の英中銀金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) などの金融政策決定会合のイベントも控えている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は162円72〜74銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の163円85〜86銭付近の前東京終値比で約1円13銭の大幅な円高ユーロ安であった。
主な要因は、昨日は独財政拡張案やウクライナ停戦に向けた米露首脳会談期待などのニュースを受けた欧州ユーロ買いが低リスク通貨の円や世界的に流動性が高い対ユーロの安全資産でもあるドルに対して起きたが、今日は欧州ユーロ圏から地理的に遠くないイスラエル情勢悪化やトルコ政情不安などを受けた地政学リスクの高まりにより欧州ユーロが低リスク通貨の円やドルに売られたことで反落した。
その影響により、ユーロドルも今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0895〜1.0897ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の1.0935〜1.0937ドル付近の前東京終値比で約0.40セントのユーロ安ドル高であった。
地政学リスクの高まりでは、欧州ユーロの影響を受けやすい英国ポンドも低リスク通貨の円に対して売られた影響があり、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は193円57〜63銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の194円61〜67銭付近の前東京終値比で約1円4銭と大幅な円高ポンド安であった。
ただし、明日3月20日に予定されている英国中央銀行 (英中銀 / BoE / Bank of England) の英中銀金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) では、英国政策金利据え置き予想が市場で優勢であったことはやや抵抗になっており、今日の東京終値時点での低リスク通貨の円相場での下げ幅は欧州ユーロよりも英国ポンドの方が少なかった。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年3月19日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の20時31分(チャート画像の時間帯は2025年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time / JST-9) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時31分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されることには注意が必要である。
通貨ペア | JST 20:31の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 149.83 〜 149.84 | ±0.00 (レンジ) |
ユーロ/円 | 163.32 〜 163.34 | −0.53 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0897 〜 1.0899 | −0.0038 (ドル高) |
英ポンド/円 | 194.28 〜 194.34 | −0.33 (円高) |
スイスフラン/円 | 170.39 〜 170.45 | +0.28 (円安) |
豪ドル/円 | 94.86 〜 94.90 | −0.72 (円高) |
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