FXニュース:米政策金利見通しを維持
2025年3月20日
東西FXニュース – 2025年03月20日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米量的引き締め減額方針
- 米経済見通しは下方修正
- 米関税インフレ不確実性
- 米長期金利低下株価反発
- 瑞SNBは0.25%利下げ
- 英BoE政策金利発表控え
今日2025年3月20日木曜日の日本の東京外国為替市場は「春分の日」の祝日休場であるが、今朝9時頃から今夜17時頃までの日本市場相当時間の世界FX市場の対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の148円18銭付近から、円の安値でドルの高値の148円65銭付近の値幅約47銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値相当時間は148円55銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の149円34銭付近の前東京終値比では約79銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、欧州ユーロ圏と地理的に近いトルコの政治不安を受けたトルコリラの急落に続き、欧州ユーロに対しても世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルや低リスク通貨の円が買われた外貨影響の波及などがあり、昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は149円83銭付近の始値であった。
続いて、米国ニューヨーク株式市場が始まると、前日には揃って下落した米国主要株価三指数が揃って反発してプラス圏から始まり上昇トレンドに転じたことを受けては、米国主要株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) で低リスク通貨の円が売られた影響では、昨夜23時9分頃にドルは円相場で一時150円15銭付近と、米国市場の円の安値でドルの高値を記録し、米国ニューヨーク債券市場でも安全資産の米国債売りが入ったことでは、午前2時45分頃には米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.322%付近に上昇した。
午前3時に、米国連邦準備制度理事会(FRB / Federal Reserve Board)の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) が米国政策金利を発表し、市場予想で優勢であった通り、従来の4.25〜4.50%の米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal funds) 金利誘導目標レートを2会合連続で維持の金利据え置きを決定した。
しかし、注目されていた米国政策金利と経済見通し (SEP / Summary of Economic Projections) のドットチャート (Dot chart / Dot plot) では、米国関税政策の不確実性への警戒感や米国関税インフレの見通しは上方修正される中でも、以前と同じ2025年末の中央予想値が年内2回の0.25%の追加利下げ予測の見通しが維持されたほか、米国経済の見通しが下方修正された一方で、保有資産のバランスシートを縮小する量的引き締め (QT / Quantitative tightening) の減額を決め、今年4月から米国債の減額上限を月250億ドルから月50億ドルへと5分の1に大幅に減らす方針を示したことでは、米国ニューヨーク債券市場では米国債が買い戻されて、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が4.3%台から4.2%台に向けた急落を始めたため、ドルも円相場で149円台に急落した。
午前3時30分頃から、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム (ジェイ) ・パウエル議長のライブ中継の定例記者会見の発言のイベントが始まり、「調査では、米国関税政策がインフレ期待を押し上げている」ことや、「インフレ期待上昇のかなりの部分が関税に起因」し、「新たな米国政策の影響に関する不確実性は高い」ことへの警戒感を示し、「今年のインフレの更なる進展が遅れる可能性」もあることに触れたことではドルの買い戻しも混ざったが、「基本的なシナリオでは、関税によるインフレは一時的なものになるのではないか」としており、「関税によるインフレと関税によらないインフレ」を区別した基調的なインフレ予想では、従来の米国政策金利の年内利下げ方向の見通しが維持されたことを示唆したことでは、米国長期金利急落が続いていた影響から、債券利回りの金利差トレードでは日銀の今後の利上げ方向維持の影響もあり、日米金利差縮小時の円買いドル売りが入り、ドルは円相場で148円台に向けて午前3時46分頃に一時148円66銭付近に下落した。
ただし、米国経済の見通しで今年の米国国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) の見通しが下方修正された一方で、米国インフレ率が上方修正されるなど、スタグフレーション懸念があり、声明文に「米国経済見通しについての不確実性は高まっている」との文言が追加され、第二次ドナルド・トランプ米国政権の高関税政策が景気に及ぼすリスクの「トランプセッション」 (トランプと景気後退のリセッションの造語 / Trump + Recession) が警戒感されたが、ジェローム (ジェイ) ・パウエル議長の発言では、「見通しを巡る不確実性は異常に高まっている」としたものの、「リセッションの確率は上がったが高くはない」ことや、米国経済は「全体的に強い」とソフトランディングへの期待を高める様な楽観的な見解も出たことでは、米国長期金利低下を受けた金利警戒感緩和と同時に過度な米国景気後退への警戒感がやや緩和されたことでは、米国主要株価三指数が上昇を続け、揃って前日比で高値の終値に向けたことでは、午前4時17分頃にドルは円相場で一時149円14銭付近と、一時149円台への反発も見せた。
だが、午前5時に発表された最新米国経済指標の1月対米証券投資は、前回871億ドルは前回1032億ドルに上方修正されたものの、今回分がマイナス圏の−488億ドルに低下し、短期債を除くコアも前回プラス圏だった720億ドルが前回分は750億ドルに上方修正されたが、今回分はマイナス圏の−452億ドルに低下しており、再びドル売りになった。
vさらに、米国ニューヨーク債券市場では、前述のFRBのQT減額を受けた米国債買いによる米国債券価格上昇に伴う利回り低下の影響が続き、市場終盤には米国長期金利が一時4.250%付近にまで低下していたため、米国株式市場の終了後には債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りが再び優勢になり、午前5時53分頃にドルは円相場で一時148円60銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の150円15銭付近から円の高値でドルの安値の148円60銭付近の値幅約1円55銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は148円69銭付近と、前営業日同時刻の149円27銭付近の前ニューヨーク終値比で約58銭の円高ドル安であった。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場でも米国長期金利低下を受けた円買いドル売りが続いていた影響などにより、今朝9時頃からの今日の東京外国為替市場は国民の休日の「春分の日」の祝日休場であったが、日本市場の始値相当時間の世界FX市場での対ドル円相場は一時148円46銭付近で、今朝11時15分頃と午後15時30分頃に一時148円18銭付近と、今日の日本市場相当時間の円の高値でドルの安値を記録した。
この一因には、米国政府のドナルド・トランプ大統領が、自身のソーシャル・ネットワーキング・サービス (SNS / Social Networking Service) のトゥルース・ソーシャル (Truth Social) の投稿で、金利維持を発表した米国連邦準備制度理事会(FRB)に対して米国追加利下げを要望した影響などが観測されていた。
しかし、今日の日本市場相当時間の二度目の安値をドルが下抜けしなかった底堅さを受けては、テクニカル分析的なダブルボトム (Double bottom) の二重底の買い戻しサインとなってドルは円相場で反発し、夕方からの欧州市場の参入では、午後16時に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの2月独生産者物価指数 (PPI / Producer Price Index) の前月比が前回の−0.1%と市場予想の0.2%を下回るマイナス圏の−0.2%に低下したほか、同時発表だった2月英国失業率が前回4.6%と前回修正4.5%よりも悪化した4.7%であった影響などで、この後の今夜21時に英国中央銀行のイングランド銀行 (英中銀 / BoE / Bank of England) の英中銀金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) の政策金利と声明発表のイベントを控えるイベントリスクの中で、欧州英国通貨に対する安全資産でもあるドルの買い戻しの抵抗が入った時間があったことでは、夕方16時53分頃にドルは円相場で一時148円65銭付近と、今日の日本市場相当時間の円の安値でドルの高値を記録し、ドルは円相場で大幅だった下げ幅を小幅域に縮小した。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値相当時間には148円55銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の149円34銭付近の前東京終値比で約79銭の円高ドル安になった。
その後の世界市場では、今夜17時30分にスイスの中央銀行にあたるスイス国立銀行 (SNB / Swiss National Bank) が政策金利を発表し、これまで0.50%だったスイス政策金利を市場予想通り0.25%利下げの0.25%の新政策金利を発表した。
同時刻には、欧州連合 (EU / European Union) 加盟国ではあるが独自通貨を持っている北欧スウェーデンの中央銀行のスウェーデン国立中銀 (Sveriges Riksbank) も政策金利を発表したが、こちらは市場予想通りの2.25%の金利据え置きで、その理由として、依然として低迷する国内経済とインフレ兆候や世界的な貿易摩擦のリスクを踏まえ、「情勢を注意深く監視し、インフレや経済活動の見通しが必要とする場合には行動を起こす」としていた。
なお、英国ロンドン外国為替市場では、今夜21時の英国中央銀行のイングランド銀行 (英中銀 / BoE / Bank of England) の英中銀金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) の英国政策金利と声明発表のイベントを控えており、イベントリスクを受けては、欧州英国通貨に対して、低リスク通貨の円だけでなく世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルも買われたため、今夜18時51分頃にドルは円相場で一時148円78銭付近と、今日の日本市場相当時間の円相場でのドルの高値を上抜けている。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標発表などが予定されており、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に2024年10〜12月第4四半期の米国経常収支と 3月米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数と前週分の米国新規失業保険申請件数と前週分の米国失業保険継続受給者数が同時発表されるほか、今夜23時に2月米国景気先行指標総合指数と2月米国中古住宅販売件数などの発表も控えている。
また、世界の株式市場と債券市場やコモディティ市場などの為替相場への影響に加え、欧米を含む各国の政策影響とウクライナ情勢や中東情勢などの世界情勢などのニュースや要人発言なども、世界のFXトレーダー達の市場予想材料となっている。
他にも、時間未定であるが、エキゾチック通貨の南アフリカの政策金利発表も控えている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値相当時間は161円65〜66銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の162円72〜74銭付近の前東京終値比で約1円7銭の大幅な円高ユーロ安であった。
主な要因は、昨日に続き、欧州ユーロ圏周辺の地政学リスクの影響が燻っていたほか、今日の夕方の欧州英国経済指標の影響でも欧州ユーロが低リスク通貨の円やドルに売られた。
そのため、ユーロドルも今夜17時の東京外国為替市場の終値相当時間は1.0881〜1.0882ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の1.0895〜1.0897ドル付近の前東京終値比では約0.14セントのユーロ安ドル高であった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値相当時間は192円70〜76銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の193円57〜63銭付近の前東京終値比で約87銭の円高ポンド安であった。
主な要因は、今日の夕方の2月の英国失業率と2月英国失業保険申請件数が悪化した影響が見られたが、今夜21時に英国中央銀行イングランド銀行 (BoE ) の金融政策委員会 (MPC) を控えているイベントリスクの一方で、この時間の市場予想では英国政策金利の据え置き予想が優勢であったことはやや抵抗になったが、結果の様子見の値動きも出ている。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年3月20日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の20時3分(チャート画像の時間帯は2025年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time / JST-9) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時3分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されることには注意が必要である。
通貨ペア | JST 20:03の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 148.59 〜 148.61 | −0.75 (円高) |
ユーロ/円 | 161.18 〜 161.19 | −1.54 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0845 〜 1.0846 | −0.0050 (ドル高) |
英ポンド/円 | 192.48 〜 192.54 | −1.09 (円高) |
スイスフラン/円 | 168.44 〜 168.50 | −1.84 (円高) |
豪ドル/円 | 93.44 〜 93.48 | −1.13 (円高) |
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