FXニュース:米消費者信頼感予想以下
2025年3月26日
東西FXニュース – 2025年03月26日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米長期金利上昇幅を縮小
- 四半期末前のロンフィク
- 米露宇黒海安全合意要求
- 日米主要株価指数は続伸
- 自民党金融調査会長発言
- 日銀審議委員タカ派発言
今日2025年3月26日水曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の高値でドルの安値の149円84銭付近から、円の安値でドルの高値の150円63銭付近の値幅約79銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は150円38銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の150円76銭付近の前東京終値比で約38銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、昨夜18時に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの最新経済指標の3月独IFO (Information and FOrschung) 企業景況感指数が前月の85.2から市場予想通りの86.7に改善され、昨年2024年7月以来の高水準となったことから、過度な欧州景気懸念が緩和され、欧州ユーロの買い戻しが低リスク通貨の円だけでなく世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルに対して入った外貨影響が対ドル円相場に波及し、昨夜20時45分頃にドルは円相場で一時150円6銭付近と前東京終値よりも下落した。
米国市場に向けたドル実需もあったことでは、昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時150円18銭付近の始値で、この時間には米国債券市場でも米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利も一時4.368%付近に上昇していたため、これが昨夜の米国市場の円の安値でドルの高値となった。
昨夜21時40分頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のアドリアナ・クーグラー理事の発言があったが、事前原稿が出ており、「特にここ数年のインフレ高進を踏まえ、物価上昇ペースの加速とインフレ期待の高まりに細心の注意を払っている」と3月米国ミシガン大学消費者マインド指数の速報で、5〜10年先のインフレ期待が32年ぶりの高水準の3.9%に上昇したデータなどを注視していることを指摘していた。
米国市場では、昨夜22時に米国住宅市場関連の最新米国経済指標の発表が始まり、1月米国S&Pケース・シラー住宅価格指数の前年同月比は前回の4.5%と市場予想の4.8%を下回る4.7%に低下し、同時発表だった1月米国住宅価格指数の前月比も前回0.4%は前回0.5%に上方修正されたものの、市場予想の0.3%以下の0.2%であったことではドルが主要通貨に対して売られたほか、安全資産の米国債買いの影響で米国債券価格上昇に伴う利回り低下が起き、債券利回りを受けた金利差トレードの日米金利差縮小時の円買いドル売りなどが起き、昨夜22時44分頃にドル円は一時149円72銭付近と149円台に下落した。
また、昨夜22時5分頃から同じく次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官である米国ニューヨーク連邦準備銀行のジョン・ウィリアムズ総裁の発言もあり、「企業や家計は経済の先行きを巡り、不確実性の高まりを感じている」という認識を示したというニュースなども市場で話題になり、前日には米国政府のドナルド・トランプ大統領の米国相互関税政策についての「柔軟性がある」ことや「多くの国に猶予を与えるだろう」などの発言を受けた観測報道により一時緩和していた米国景気の先行きの見通しへの懸念が再びやや燻った。
その様な状況下で、昨夜23時に複数が同時発表された最新米国経済指標が揃って弱い指標となり、米国住宅市場の景気指標の中でも重要度が高い2月米国新築住宅販売件数は、年率換算件数は前回65.7万件が前回66.4万件に上方修正されたものの市場予想の68.0万件を下回る67.6万件で、前月比も前回−10.5%は前回−6.9%に上方修正されたが市場予想の3.5%を下振れする1.8%と、いずれも市場予想以下であった。
同時発表だった米国コンファレンス・ボード (CB / Conference Board / 全米産業審議会) の3月米国消費者信頼感指数も、前回98.3は前回100.1に上方修正されたものの市場予想の94.0を下回る92.9に低下し、期待指数でも米国関税への懸念が燻っており、3月米国リッチモンド連銀製造業指数も前回プラス圏だった6と市場予想の2を下回るマイナス圏の−4に悪化していたため、米国ニューヨーク債券市場では安全資産の米国債買いが続き、米国長期金利低下に伴う円買いドル売りが続き、深夜24時35〜36分頃にかけて対ドル円相場は一時149円55銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
なお、この時間には同時進行中だった世界最大規模の英国ロンドン外国為替市場でも、午前1時のロンドン・フィキシング (London Fixing) に向けており、3月末の四半期末や4月の英国税年度末を控えた主要取引通貨のドルからの日本円や欧州英国通貨を含めた外貨の買い戻しなどが入っていたフロー (Flow / 流れ) なども観測されていたが、午前1時のフィフィキシング直前頃からはこの日の金価格値決めなどの主要取引通貨のドル需要もあったことでは、市場安値後のドルには買い戻しも入り始めて、円相場で下げ幅を縮小し始めた。
ただし、午前1時20分頃には、米国ニューヨーク債券市場では安全資産の米国債買いの影響が続き、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.302%付近まで低下したことはドルの上値を円相場で抑えており、ドルは円相場で149円台後半に留まった。
しかし、米国ニューヨーク株式市場では、この日に発表された最新経済指標のデータが1〜3月頃のものであったことなどから、前日の米国相互関税景気後退懸念緩和感による株の利益確定や持ち高調整売りの後の買い戻しが入り始めたことでは、米国長期金利低下を受けて米国主要株価三指数の中でも金利に敏感な米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) が一時下落後に反発したほか、世界的なハイテク企業株の比率の高い米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) は続伸し、米国主要株価三指数が揃って前日比の小幅高で続伸の終値に向けたことでは、安全資産の米国債に債券価格上昇後の売りが入って米国長期金利が反発し、米国市場終盤には米国長期金利が一時4.321%付近に向けて下げ幅を縮小し、低リスク通貨の円の利益確定売りや持ち高調整によるドルの買い戻しもあったことでは、今朝4時56分頃と午前5時10〜11分頃にドルは円相場で一時149円94銭付近に下げ幅を縮小した。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の150円18銭付近から円の高値でドルの安値の149円55銭付近の値幅約63銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は149円91銭付近と、米国市場の前営業日同時刻の150円70銭付近の前ニューヨーク終値比で約79銭の円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、世界ニュースで米国政府がサウジアラビアの首都リヤドで23日にウクライナ政府の代表団と協議し、24日にロシア政府の代表団とも協議を実施し、米国政府のホワイトハウスが米国現地時間の25日付けで、黒海における船舶の安全航行を確保し、両国のエネルギー施設への攻撃停止に向け、ウクライナ政府とロシア政府と個別に合意したと発表し、またロシアの農産物や肥料輸出市場へのアクセス回復を支援し、持続可能な平和の実現に向けてロシアとウクライナの両国との協議を継続すると表明したことを受けては低リスク通貨の円売りが入り、今朝8時47分頃にドルは円相場で一時150円1銭付近と150円台に戻していた。
続いて、ロシア政府も西側諸国が穀物や肥料の輸出に関連する制裁措置を解除することを条件に、黒海における安全な航行を確保することや、ロシアと米国は3月18日から30日間に渡りロシアとウクライナのエネルギー施設に対する攻撃を停止するための措置を策定することでも合意したと発表し、ロシアの農産物や肥料の輸出について米国が世界市場に対するアクセス回復を支援する意向を示したことを明らかにした。
ただし、ロシア政府の発表では、この後の交渉でロシア農業銀行のロスセリホズバンクに対する経済制裁の解除や国際銀行間通信協会 (SWIFT / Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunications) へのアクセス回復などの多くの追加条件を提示しており、まだ完全に合意していないことを示唆したほか、ロシアの穀物や肥料の輸出業者と輸送に関与する保険会社に対する経済制裁の解除や、船舶や貿易金融業務に対する制限措置も解除される必要があるなど、ロシアのウクライナ侵攻による世界的な経済制裁の解除を要求していることを明らかにし、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は「明確な保証が必要だ」と米国に担保を求めるなど、市場で期待されていた米露共同声明は出ずに、まだ協議中でロシアが経済制裁解除などの多くの条件を要求していることが意識されたことでは、再び低リスク通貨の円の買い戻しが入り、ドル円は一時149円台後半に戻し始めていた。
その影響などから、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時149円94銭付近の始値で、今朝9時3分頃に対ドル円相場は一時149円84銭付近と、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、今朝8時50分に発表されていた日本の最新経済指標の2月日本企業向けサービス価格指数は、前年同月比が前回の3.1%と前回修正の3.2%と市場予想の3.1%を下回る3.0%であったことや、日本市場では春の四半期末の月末や年度末を前にした今朝の仲値決済で、日本企業の輸入実需の円売りドル買いに加えてドル準備金も買われたことなどから、ドルは円相場で再び150円台に上昇した。
また、今日の東京株式市場でも、今朝早朝に日本企業の主要取引先を含めた米国主要株価三指数が揃って高値で引けていた影響などがあり、日経平均株価が朝から前日比のプラス圏で始まって続伸した日米株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) による国内第一安全資産の低リスク通貨の円売りも入り、世界的な安全資産である米国債も売られた影響では時間外の米国債券取引で米国長期金利が一時4.341%付近に上昇した債券利回りの日米金利差拡大時の円売りドル買いもあり、午後14時8分頃にドルは円相場で一時150円63銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
午後15時30分頃には、今日の日経平均株価が3万8027円29銭の終値をつけ、前日比246円75銭高で大引けした。
とはいえ、今日も日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の植田和男総裁の発言もあり、午前中の衆院財務金融委員会で「経済と物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していく」と追加利上げ継続姿勢を示していた。
さらに今日の午後には、自民党金融調査の片山さつき会長が、「ドル円は120円台の時期が長かったので120円台が実力との見方が多い」との円安牽制発言が話題になり、「円高方向への誘導手段としての為替介入は、長期的には効果があまり大きくないので、根本的な対策が必要」と語ったことや、自民党としては「新NISA (Nippon Individual Savings Account) の税制優遇拡充を検討している」などの発言が市場で話題になった。
加えて、夕方には今日から新しく日銀審議委員に就任した小枝淳子委員が、「実質金利は極めて低い」とし、「基調的なインフレは緩やかに上がっている」などのタカ派発言が話題になり始めたことでは、市場高値後のドルの利益確定売りや持ち高調整と日本市場終盤の円の買い戻しが強まり、ドルは円相場で150円台前半に下落した。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は150円38銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の150円76銭付近の前東京終値比では約38銭の円高ドル安になった。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定や米国債入札と次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の発言予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に 2月米国耐久財受注と26時に米国5年債入札、26時10分頃から次回のFOMC投票権を持つFRB高官である米国セントルイス連邦準備銀行のアルベルト・ムサレム総裁の発言予定などを控えている。
引き続き、世界の株式市場と債券やコモディティ市場などの為替相場への影響に加え、各国の政策などの影響やウクライナ情勢と中東情勢などの世界情勢や要人発言などのファンダメンタルズ分析向けのニュースとテクニカル指標なども、FXトレーダー達の今後の値動きの予想材料となっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は162円22銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の162円63銭付近の前東京終値比では約41銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、先述の日銀総裁や自民党と日銀審議などのタカ派発言の影響を受けた夕方の円の買い戻しは、ドルだけでなく欧州ユーロや英国ポンドなどの主要通貨に波及した。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は194円16銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の194円60銭付近の前東京終値比では約44銭の円高ポンド安であった。
また、今日の夕方16時に発表された最新英国経済指標でインフレ指標でもある2月英国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) が、前月比は前回の−0.1%と市場予想の0.5%に対し0.4%で、前年同月比も前回の3.0%と市場予想の2.9%に対し2.8%で、同月の英国CPIコア指数の前年同月比も前回の3.7%と市場予想の3.6%を下回る3.5%と、いずれも市場予想以下であったことで英国追加利下げ予想が上昇し、英国ポンド売りの原因となった。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0788ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の1.0788ドル付近の前東京終値比と同額の横ばいレンジ圏であった。
主な要因は、今日の夕方16時45分に発表された欧州ユーロ圏のフランスの最新経済指標の3月仏消費者信頼感指数が前回の93と市場予想の94を下回る92であったことでは欧州ユーロが売られたが、この時間にもドルも円相場で売られ始めて低下中の時間であったことから、外貨影響の波及もあって東京終値時のユーロドルは前日比で横ばいレンジになっていた。ただし、その後の欧州英国市場では、小幅なユーロ高ドル安などにも転じている。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年3月26日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の21時0分(チャート画像の時間帯は2025年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time / JST-9) の英国ロンドン外国為替市場時間の12時0分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されることには注意が必要である。
通貨ペア | JST 21:00の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 150.17 〜 150.18 | −0.59 (円高) |
ユーロ/円 | 162.07 〜 162.08 | −0.56 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0791 〜 1.0793 | +0.0003 (ドル安) |
英ポンド/円 | 193.65 〜 193.71 | −0.95 (円高) |
スイスフラン/円 | 169.85 〜 169.91 | −0.54 (円高) |
豪ドル/円 | 94.91 〜 94.95 | +0.18 (円安) |
注意:
本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。
当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。