FXニュース:米関税政策警戒感が再燃
2025年3月27日
東西FXニュース – 2025年03月27日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米耐久財受注額予想以上
- 米FRB発言で金利先高感
- 米輸入自動車関税を発表
- 欧米日主要株価指数下落
- 米トランプ欧加関税発言
- 米長期金利一時4.4%台
今日2025年3月27日木曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の150円62銭付近から、円の高値でドルの安値の150円6銭付近の値幅約56銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は150円52銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の150円38銭付近の前東京終値比で約14銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、昨日に日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の審議委員に就任した小枝淳子委員が、日本の「実質金利は極めて低い」ことや「基調的なインフレは緩やかに上がっている」など、日銀の追加利上げを意識させるタカ派発言をした夕方のニュースを受けた欧米通貨に対する円買いに加えて、昨夜17時15分頃の時間外の米国債券取引で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.319%付近に低下した円買いドル売りの影響などがあり、昨夜19時22分頃にドルは円相場で一時150円2銭付近にまで下落した。
しかし、その後には米国債券価格上昇後の米国債売りや持ち高調整が入り始めたことでは、昨夜21時頃には米国長期金利は一時4.350%付近に反発上昇したためドルも円相場で反発し、昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時150円21銭付近の始値で、昨夜21時27分頃の一時150円11銭付近が昨夜の米国市場の円の高値でドルの安値となり、ドルは円相場で反発上昇した。
主な原因は、昨夜21時30分に発表された最新米国経済指標の2月米国耐久財受注が、前月比は前回の3.1%と前回上方修正の3.3%と市場予想ではマイナス圏だった−1.0%に対しプラス圏の0.9%と市場予想ほど悪化しなかったことや、輸送用機器除くコアな前月比では前回の0.0%と前回上方修正の0.1%と市場予想の0.2%を上回る0.7%に上昇したことから、過度な米国景気減速懸念が緩和された世界的な安全資産の米国債売りが強まり、米国債券価格低下に伴う利回り上昇により米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が深夜24時15分頃には一時4.361%付近と更に上昇したため、債券利回りを受けた金利差トレードの日米金利差拡大時の円売りドル買いで、深夜24時24分頃にドルは円相場で一時150円75銭付近と、昨夜の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
また、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達の発言の影響もあった。
米国ミネアポリス連邦準備銀行のニール・カシュカリ総裁は、米国ミネソタ州デトロイト・レイクス商工会議所のイベントで、米国インフレ率が「目標の2%を上回っているため、なおやるべきことがある」とタカ派寄りの発言し、「大きなチャレンジであり、FRBはそれに相応な注力をする。米国労働市場の堅調さを維持しながら達成できることを期待する」とし、「この先1〜2年で米国インフレ率が低下し、米国労働市場が引き続き堅調であるならば、金利をさらに引き下げることができるはず。住宅ローン金利には一定の効果があるだろう」と当面の間の米国政策金利の据え置きを示唆したが、前日の米国消費者信頼感指数の低下については「米国関税政策を巡る不確実性を反映している面が大きい」と分析し、「信頼感低下は関税そのものを超える影響をもたらし得る」と米国関税政策への警戒感を示し、現在の「経済分析は政策の不透明感によって複雑化している」と述べ、「米国関税政策により物価が上昇する可能性があり、そうなれば利上げが求められる一方で、経済成長が鈍化する恐れからは利下げが必要となる可能性がある」と先行きの不透明感を指摘していた。
続いて、米国セントルイス連邦準備銀行のアルベルト・ムサレム総裁の発言もあり、米国関税政策による「直接的な物価高は、一時的になると予想する」一方で、「間接的な物価高は、米国のインフレに粘り強さを与えるかもしれない」と発言しており、米国政策金利の先高観や粘り強いインフレ抑制に対する長期化の可能性などから、米国追加利下げ時期がこれまでの市場予想よりも先送りになる可能性が意識されたことでも、米国長期金利が4.3%台の推移を続けたため、市場高値後の利益確定売りや持ち高調整の抵抗を交えつつもドルは円相場で150円台の底堅い値動きを続けた。
さらに、米国政府のホワイトハウス報道官が、「ドナルド・トランプ米国大統領が、米国現地東部時間の午後4時 (時差で日本時間の今朝5時) に記者会見を開き、米国への輸入自動車に対する関税措置を発表する」と発表したニュースに続き、「米国への輸入自動車に対する25%の追加関税を、米国東部時間の4月3日の午前0時1分(時差先行の日本時間で同日の午後13時1分)から関税徴収を開始する」ことや、「欧州や日本からの輸入車も対象になる」ことが話題になり、市場で期待されていた猶予期間が以前の発動予定日の4月2日の深夜過ぎとわずか1日後の4月3日からの関税徴収開始と伝わったことから、以前の「柔軟性がある」発言にも具体案な柔軟性が今後どの程度のものになるかの市場での疑問視が起き、米国関税政策への懸念が再燃し、米国インフレ警戒感による米国政策金利の先高観も相まって欧州ユーロ売りドル買いなどが入った外貨影響も対ドル円相場に波及した。
米国ニューヨーク株式市場では、米関税政策警戒感が再燃したことを受けて、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) が揃って下落の終値に向けたことでは、米国主要株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) による低リスク通貨の円買いドル売りの抵抗も入ったが、米国政策金利の先高観への警戒ではドルも欧州ユーロなどの主要通貨に対して買われたため、150円台中盤付近で揉み合う形になった。
今朝5時頃から予定されていた記者会見では、米国政府のドナルド・トランプ大統領が米国関税引き上げを指示する通商拡大法232条に基づく大統領文書に署名し、米国関税徴収開始は米国東部時間の4月3日からではあるが、現地時間では予定通りの4月2日の夜から米国関税が発動されることが意識され、「アメリカ製ではないすべての自動車に25%の関税を課す」ことを「米国の解放の日の始まり」と呼び、「アメリカで生産された車であれば関税は一切課さない。企業は関税を支払わなくても済むようにアメリカに戻ってくる」と述べたほか、「恒久的な措置になる」と継続意欲も示したとも報じられ、米国関税政策を巡る貿易摩擦による世界経済や景気影響への警戒感が市場で高まった。また、今後、木材や医薬品にも米国追加関税をかける方針も示唆していたとも伝わった。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の150円11銭付近から円の安値でドルの高値の150円75銭付近の値幅約64銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は150円57銭付近と、米国市場の前営業日同時刻の149円91銭付近の前ニューヨーク終値比で約66銭の円安ドル高をつけた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、米国関税政策の世界景気影響への警戒感などから低リスク通貨の円買いも入ったため、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時150円47銭付近の始値であったが、日本市場では今朝の仲値決済に向けた3月末の四半期末や年度末を控えた日本企業の輸入実需とドル準備金などの円売りドル買いが先行したため、今日はスポット (直物) 取引で年度内に資金を受け渡し可能な最終日にあたることもあり、今朝9時25分頃に対ドル円相場は一時150円62銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、米国関税政策への警戒感などから今朝早朝に欧州主要株価下落後に米国主要株価三指数も揃って安値で引けていた影響に加えて、今日の国内ニュースでも昨年2024年の日本から米国への自動車輸出額が約6兆264億円規模と、日本の対米輸出額全体の28.3%を占める最多であったことや、これまでは日本からの輸入車に対する米国関税率は普通乗用車が2.5%程度であったことでは10倍の25%に及ぶ可能性の警戒感から、今日の東京株式市場でも日経平均株価が下落したことでは、日米株価下落時のリスク回避のリスクオフでは国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買われたことでは対ドルの円相場は下げ幅を縮小したが、米国政策金利の先高観を受けてはドルも底堅さを見せており、午後13時21分頃に対ドルの円相場が一時150円6銭付近にまで反発して今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録すると、市場高値後の円売りドル買いに転じ始めてドルも円相場で反発した。
また、ドナルド・トランプ米国大統領の発言によるドル買いの影響もあり、「もし欧州連合 (EU / European Union) がカナダと協力し、アメリカに経済的損害を与えようとするなら、現在予定されているよりもはるかに大規模な関税が双方に課されることになる!」とソーシャルメディアに投稿したことも話題になり、報復関税への警戒感による欧州ユーロ売りドル買いが起き、夕方からの欧州市場の参入による外貨影響も対ドル円相場に波及した。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は150円52銭付近で、昨夜17時の150円38銭付近の前東京終値比では約14銭の円安ドル高になった。
さらに、今夜その後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、米国政策金利の先高観を受けて、今夜18時59分頃に米国長期金利が一時4.403%付近と4.4%台に上昇し、主要通貨や円に対してドルが更に上昇したため、今夜19時37分頃には一時150円98銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を超えている。
今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表予定や米国債入札と次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の発言予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に最新重要経済指標の2024年10〜12月第4四半期米国実質国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) の確報値と同四半期の米国GDP個人消費と米国コアPCEの確報値と、前週分米国新規失業保険申請件数と前週分米国失業保険継続受給者数と2月卸売在庫が同時発表され、続いて今夜23時に2月の米国住宅販売保留指数と米国中古住宅販売保留、26時に米国7年債入札予定と、29時30分頃から次回のFOMC投票権を持つFRB高官の米国ボストン連邦準備銀行のスーザン・コリンズ総裁の発言予定などを控えている。
加えて、世界の株式市場と債券やコモディティ市場などの為替相場への影響や、各国の政策などの影響や世界情勢と要人発言などのファンダメンタルズ分析向けのニュースも、テクニカル指標などと共に世界のFXトレーダー達の今後の値動き予想材料になっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は161円99銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の162円22銭付近の前東京終値比では約23銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、今日の日経平均株価下落を受けたリスク回避のリスクオフなどの影響では、日本市場では低リスク通貨の円や世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルが、リスク市場に比較的弱いとされる欧州ユーロに対して買われやすかった。
ただし、今夜その後の欧州市場では、米英長期金利上昇を受けた金利差トレードで円安ドル高や円安ポンド高が進行した外貨影響の波及もあり、今夜20時台には円安ユーロ高への市場反転も見せている。
そのため、ユーロドルも、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0762ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の1.0788ドル付近の前東京終値比で約0.26セントのユーロ安ドル高であった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は194円34銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の194円16銭付近の前東京終値比では約18銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、今日の夕方の米国長期金利上昇に連れて英国長期金利も上昇し、英国財政案に関する観測報道を受けた英国債売りの影響もあって、今日は英国10年債の利回りが指標となる英国長期金利が一時4.868%付近の高利回りになり、債券利回りを受けた金利差トレードで主要通貨の中でも高金利通貨である英国ポンドが低金利通貨の円に対して買われた影響があり、今夜20時台の英国ロンドン外国為替市場で大幅な円安ポンド高になっている。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年3月27日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の20時46分(チャート画像の時間帯は2025年3月最終日曜日まで日本から時差9時間遅れの英国冬時間の標準時間 (GMT / Greenwich Mean Time / JST-9) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時46分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されることには注意が必要である。
通貨ペア | JST 20:46の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 150.93 〜 150.94 | +0.55 (円安) |
ユーロ/円 | 162.73 〜 162.75 | +0.51 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0780 〜 1.0782 | −0.0008 (ドル高) |
英ポンド/円 | 195.22 〜 195.28 | +1.06 (円安) |
スイスフラン/円 | 170.69 〜 170.75 | +0.48 (円安) |
豪ドル/円 | 95.29 〜 95.33 | +0.27 (円安) |
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