FXニュース:米対中報復関税率104%
2025年4月09日
東西FXニュース – 2025年04月09日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米貿易摩擦世界景気懸念
- 報道受け米主要株価反落
- 本日から米相互関税発動
- 日経平均株価大幅再下落
- 日銀政府金融庁三者会合
今日2025年4月9日水曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の145円94銭付近から、円の高値でドルの安値の144円58銭付近の値幅約1円36銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は145円51銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の147円45銭付近の前東京終値比では約1円91銭の大幅な円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時146円89銭付近の始値であった。
ただし、米国相互関税政策に対して欧州連合 (EU / European Union) を含む70カ国以上のディール交渉期待により欧州主要株価指数の独DAX (Deutscher Aktien-indeX) が大幅に反発上昇した影響では、米国ニューヨーク株式市場でも米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が揃って前日比で大幅高に反発して始まった米国市場前半には、欧米株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) で安全資産の米国債や低リスク通貨の円が売られた。
昨夜22時25分頃に米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時4.262%付近と4.2%台に上昇し、米国ダウ工業株 (DJIA) が前日比で一時1460ドル以上も高騰するなど、米国主要株価三指数が一時揃ってプラス圏の高値圏になっていた昨夜23時26分頃にドルは円相場で一時147円67銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、英国ロイター通信 (Reuters) が、米国相互関税に対する報復関税を表明していた中国政府に対する更なる報復関税として「第二次ドナルド・トランプ米国政権は、中国に対する104%の追加関税を明日4月9日に発動する」と報道したニュースが世界市場で話題になると、米中貿易摩擦への警戒感から米国主要株価三指数が揃って反落を始めてマイナス圏の終値に向けたため、米国主要株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) の低リスク通貨の円買いが優勢に転じ、午前4時39分頃に対ドル円相場は一時145円96銭付近と米国市場の円の高値でドルの安値を記録し、日通しでのドルの安値も更新した。
また、オフショア人民元 (CNH) が低リスク通貨の円に対し一時19.69円付近と昨年2024年9月以来の今年最大の円高オフショア人民元安を更新していたが、オフショア人民元 (CNH) は世界的に流動性が高いドルに対しても一時7.4290元付近に急落し、史上最安値を記録したことでは外貨影響の波及もあり、市場安値後のドルは円相場で反発した。
一方、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の米国シカゴ連邦準備銀行のオースタン・グールズビー総裁は、ドナルド・トランプ米国大統領の米国関税措置は「想定されていたものよりもはるかに大きい」として、「インフレが再燃するリスクへの不安もある」と発言し、「インフレが制御不能に陥ると何が起こるか、我々は学んだばかり」と指摘し、米国関税政策は「マイナスの供給ショック」であると指摘した。
米国ニューヨーク債券市場では、米国相互関税の影響による米国インフレ再燃への警戒感が高まり、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が上昇し、今朝6時頃の米国ニューヨーク外国為替市場の終値時には米国長期金利は一時4.304%付近と4.3%台に上昇していた。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の147円67銭付近から、円の高値でドルの安値の145円96銭付近の値幅約1円71銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は146円27銭付近と、前営業日同時刻の147円84銭付近の前ニューヨーク終値比で約1円57銭の円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時145円85銭付近の始値で、日本市場の今朝9時55分の仲値決済で国内輸出企業の円買いドル売りが優勢であった反動でドルが円相場で買い戻されていた午前11時37分頃の一時145円94銭付近が今日の日本市場の円の安値でドルの高値となり、その後は米中貿易戦争への警戒感と世界経済への影響懸念などから今日の日経平均株価が大幅下落で始まり、マイナス圏の推移を続けていた影響から、株価下落時のリスク回避のリスクオフの国内第一安全資産の低リスク通貨の円買いが優勢になった。
なお、今朝11時頃のオセアニア市場では、ニュージーランドの中央銀行制度にあたるニュージーランド準備銀行 (RBNZ / Reserve Bank of New Zealand) が新政策金利と声明を発表し、これまでの3.75%から市場予想通り3.50%へと0.25%の利下げを決定していた。
また、今日の午前中の衆院財務金融委員会における日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の植田和男総裁の発言が伝わり、第二次ドナルド・トランプ米国政権の米国相互関税政策について、「内外の経済・物価をめぐる不確実性が高まった。注視しながら、適切に政策運営していきたい」と発言していた。
日米関税ディール交渉については、ドナルド・トランプ米国大統領は日本との貿易交渉担当にスコット・ベッセント財務長官を指名したが、対日協議には米国通商代表部 (USTR / United States Trade Representative) も参加し、日本関税ディールのほかにも円安是正などが議題となる可能性について観測報道などで意識されたことも、円買い要因になった。
日本時間の本日4月9日午後13時1分(米国東部時間で同9日午前0時1分)から、米国相互関税政策が発動し、日本には24%が課税され、欧州連合 (EU / European Union) には20%、中国製品には合計104%の高関税が米国への輸入品に課されたことにより、米国ホワイトハウスによると70カ国以上がそれぞれのディール交渉を申し入れているとしてはいるが、米国側に有利なディールになるなどの警戒感や先行き不透明感が市場に漂った。
先日に発表された世界貿易機関 (WTO / World Trade Organization) の推定では、米国相互関税政策の影響により、世界の商品貿易量は全体で約1%縮小する可能性があると警告しており、これまでの前年比3%増加の予測からは大幅な下方修正となり、報復措置の連鎖を伴う世界的な対米関税戦争にエスカレートする可能性への懸念を示していたが、世界経済への悪影響への警戒感が高まり、発信国の米国経済への影響の大きさへの懸念によりドルが売られて円相場で下落し、発動後の今日の午後13時28〜29分頃に対ドル円相場で一時144円58銭付近と一時144円台の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録したが、4月4日の今年最大の円高ドル安の144円56銭付近は抵抗となり反発した。
日本市場時間の今日の午後13時台の時間外の米国債券取引では、米国相互関税発動に伴う米国インフレ再燃予想により、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.515%付近と一時4.5%台の高利回りをつけており、債券利回りを受けた金利差トレードの日米金利差拡大時の円売りドル買いが抵抗要因となっていたが、主要通貨に対するドル売りの中では、ドルの買い戻しは重く145円台へと下げ幅を縮小する程度に留まった。
午後15時頃から欧州市場が参入し、世界的な安全資産の米国債が買われた影響では米国長期金利は上昇幅を縮小し、欧州ユーロに対して再びドル売りが入った。
午後15時30分頃には今朝から前日比で大幅なマイナス圏で推移していた日経平均株価が、3万1714円3銭の終値をつけ、前日比1298円55銭安の-3.93%の大幅安で大引けしたことでも、低リスク通貨の円はドルに対して堅調な推移を見せた。
今日の夕方16時頃からは、日本銀行 (日銀) と日本政府の財務省と金融庁の三者会合が開催され、三村淳財務官は米国相互関税について、「一連の措置は極めて遺憾」であるとし、「日本の除外を強く求めていく」一方で、「米関税が世界各国に大きな悪影響を与える」ことへの警戒感を示し、米関税対応について「各国が連携しないと効果がない」としており、市場については「動向を高い緊張感を持って注視」し、為替について「投機的な動き含め憂慮して見ている」などの発言が伝わっていた。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は145円51銭付近で、昨夜17時の147円45銭付近の前東京終値比で約1円91銭の大幅な円高ドル安になった。
今夜この後の米国市場では、最新経済指標の発表予定や次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の発言予定と米国債の入札予定やFOMC議事録公表などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜23時に2月米国卸売売上高、23時30分に米国週間原油在庫、24時頃から次回のFOMC投票権を有するFRB高官の米国リッチモンド連邦準備銀行のトーマス・バーキン総裁の発言予定、26時に米国10年債の入札予定、27時に3月18〜19日開催分の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨公表予定などを控えている。
また、世界株式市場と債券市場やコモディティ市場などの為替相場への影響や、主要国の米国相互関税ディール交渉の先行きなどの政治政策などの影響に加えて、世界情勢と要人発言などのファンダメンタル分析向けのニュースは、テクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料になっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は160円33銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の161円10銭付近の前東京終値比で約77銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、欧州連合 (EU / European Union) が米国相互関税のディール合意に到達しないまま今日から米国相互関税が発動されたほか、日経平均株価の大幅下落を受けたリスク回避のリスクオフで低リスク通貨の円が買われ、円相場がドルだけでなく欧州ユーロや英国ポンドや豪ドルなどの主要通貨に対して上昇したことが為替相場に影響を与えていた。
そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は186円29銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の187円97銭付近の前東京終値比で約1円68銭の大幅な円高ポンド安であった。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1020ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0926ドル付近の前東京終値比で約0.94セントのユーロ高ドル安であった。
主な要因は、米国相互関税政策による貿易摩擦で世界経済への悪影響が懸念される中で、その中心となり最も景気に影響を受けやすいのは米国であることから、今日の米国相互関税発動時のドル売りでは、欧州ユーロや英国ポンドも対ドルで買い戻されていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年4月9日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時14分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時14分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 19:14の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 145.19 〜 145.21 | −2.26 (円高) |
ユーロ/円 | 160.47 〜 160.49 | −0.63 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.1051 〜 1.1052 | +0.0125 (ドル安) |
英ポンド/円 | 186.18 〜 186.24 | −1.79 (円高) |
スイスフラン/円 | 172.68 〜 172.74 | +1.22 (円安) |
豪ドル/円 | 87.39 〜 87.43 | −1.77 (円高) |
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