FXニュース:米関税一部国90日間停止
2025年4月10日
東西FXニュース – 2025年04月10日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 中84%米125%報復関税
- 米トリプル安「買い好機」
- 米トランプ発言株価反発
- 米ダウ株史上最大上昇幅
- 日経平均史上第2上昇幅
- 米消費者物価指数を控え
今日2025年4月10日木曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の147円46銭付近から、円の高値でドルの安値の146円23銭付近の値幅約1円23銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円23銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の145円51銭付近の前東京終値比では約72銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、昨日の米国相互関税発動を受けて中国政府は米国政府の追加関税への報復関税として米国から中国への輸入品の関税率を34%から84%へ引き上げることを発表したため、米中貿易摩擦懸念が高まる中で欧州ユーロや英国ポンドなどの主要通貨に対するドル売りが進み、欧州英国市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時144円64銭付近の始値であった。 米国相互関税政策への警戒感などから、米国通貨安だけでなく米国株式先物や米国債券価格がトリプル安で始まったが、米国政府のスコット・ベッセント財務長官は米国FOXビジネスのインタビューで、「日本では円高が進行しているが、これは日本経済の強い成長とインフレ期待上昇の結果だ。日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) は利上げしており、全ては自然な流れ」と発言し、円高ドル安を許容したことでもドルが売られて、昨夜21時38分頃にドルは円相場で一時144円0銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録し、また1分間の値動きでは瞬時に143円99.9銭付近にタッチするなど、昨年2024年10月以来の今年最大の円高ドル安も更新していた。 市場高値後の円の利益確定売りと市場安値後のドルの買い戻しではドルは円相場で下げ幅を縮小し、昨夜23時に発表された最新米国経済指標の2月米国卸売売上高の前月比が前回マイナス圏だった−1.3%と前回上方修正の−0.9%と市場予想の0.8%を上回るプラス圏の2.4%に改善されたこともあり、昨夜23時3分頃にはドルは円相場で一時145円9銭付近に買い戻されていた。 深夜24時頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の米国リッチモンド連邦準備銀行のトーマス・バーキン総裁の発言が始まり、早ければ6月にも米国関税による価格上昇が起こる可能性についての懸念を表明したが、「方向性は明確だ。ただ、難題となるのは最終的な到達点だ」としており、企業が関税コストの吸収に関して直面するジレンマについて論じ、ほとんどの企業は関税の影響を遅らせるのに十分な在庫を持っていることから、価格上昇は4月よりも6月の方が顕著になると予想していた。 午前2時には、米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の入札があり、予想されていたよりも堅調な入札結果であったことに続き、米国政府のドナルド・トランプ大統領が、ソーシャル・ネットワーキング・サービス (SNS / Social Networking Service) に、「クールになれ!全ては上手くいく。今は買うチャンス」などと投稿したことを受けた米国主要株価三指数が揃って反発し、プラス圏になった株価影響もドル買いに影響を与えた。 さらに、ドナルド・トランプ米国大統領は、「米国への報復関税を上乗せした中国に対しての米国関税を125%に引き上げる」と発言したが、その一方で、「米国に対して報復関税措置を取っていない国や地域を対象に、米国相互関税の上乗せ分の引き上げを90日間一時停止する」と発表し、その90日間の一部対象国への米国関税率は10%となることを示唆したため、米国関税ディール政策による貿易戦争への過度な警戒感が緩和され、米国主要株価三指数は反発後の大幅な上昇に向け始めた。 米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) が一時前日比で3100ドル以上も高騰と史上最大の上昇幅を記録し+7.87%上昇の終値に向けたほか、米国S&P 500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) も+9.51%上昇し、米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) も+12.16%上昇と、揃って前日比で大幅高の終値に向けため、米国主要株価三指数上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) による低リスク通貨の円売りドル買いが入った。 また、午前3時に公表された3月18〜19日開催分の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) 議事要旨で参加メンバーのほとんどが「米国インフレのリスクは上向きである一方、米国雇用のリスクは下向き」と認識していた影響もあり、午前3時8分にドルは円相場で一時148円28銭付近と、米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。 ただし、3月18〜19日開催分の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨では、一部の米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官は、「米国インフレがより根強いことが判明する一方で、成長および米国雇用市場の見通しが弱含めば、困難なトレードオフに直面する」と、米国スタグフレーションのリスクへの警戒感も見せていたことは、市場高値後のドルのやや抵抗になった。 このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の143円99銭〜144円0銭付近から、円の高値でドルの安値の148円28銭付近の値幅約4円28銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は147円76銭付近と、前営業日同時刻の146円27銭付近の前ニューヨーク終値比で約1円49銭の円安ドル高をつけていた。 今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時147円39銭付近の始値で、今日は10日で日本の貿易企業の決済日が集中しやすい5と10が付く日の「五十日(ごとおび / ゴトーび)」にあたるため、日本市場の今朝9時55分の仲値決済に向けた円売りドル買いが先行した影響では、今朝9時4分頃に対ドル円相場は一時147円46銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。 しかし、続いては、五十日決済で国内輸出企業によるまとまった円買いドル売りも入り始めたことでは、市場高値後のドルは円相場で反落を始めた。 また、昨夜の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では一時4.5%台付近にまで上昇後の米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が、昨夜の堅調な入札後にも買われて、今日の日本市場時間の時間外の米国債券取引では、一時4.263%付近まで低下したことも、債券利回りを受けた金利差トレードの米国長期金利低下時の円買いドル売りに影響を与えた。 一方、東京株式市場では、米国相互関税政策の交渉中の国などへの90日間の一時停止を受けて揃って上昇して今朝引けていた米国主要株価三指数の影響もあり、米国相互関税景気懸念の一時緩和により、今日の日経平均株価もプラス圏から大幅に上昇しながら始まり、一時は前日比で2925円36銭高という史上三番目の上昇幅を記録し、午後15時30分に3万4609円0銭の終値をつけ、前日比2894円97銭高の+9.13%で大引けしたことでは、株価上昇時のリスク選好のリスクオンによる国内第一安全資産の低リスク通貨の円売りもあったことはやや抵抗になった。 午後からの欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の参入では、欧州主要株価指数も上昇した時間には再びドル売りで欧州ユーロや英国ポンドが買われたことでは、ドルは円相場で今朝から上昇幅を縮小し続けていたため、今夜17時の東京終値の一時146円23銭付近が今日の日本市場の円の高値でドルの安値となった。 このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円23銭付近で、昨夜17時の145円51銭付近の前東京終値比で約72銭の円安ドル高になった。 今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表予定と次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の発言予定や米国債入札予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に最新米国重要インフレ指標の3月米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) と、前週分米国新規失業保険申請件数と 前週分米国失業保険継続受給者数が同時発表されるイベントタイムがあり、今夜23時頃から次回のFOMC投票権を有するFRBのミシェル・ボウマン理事の発言予定と、同時刻に米国カンザスシティ連邦準備銀行 (連銀) のジェフリー・シュミッド総裁の発言予定、25時頃から同じくFOMC投票権を持つFRB高官の米国シカゴ連銀のオースタン・グールズビー総裁の発言予定、26時に米国30年債入札予定、27時に 3月米国月次財政収支の発表などを控えている。 また、世界株式市場と債券市場やコモディティ市場などの為替相場への影響や、米国相互関税ディール交渉の先行きを含めた政治などの影響に加え、世界情勢と要人発言などのファンダメンタル分析向けのニュースは、テクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料になっている。 一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は161円28銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の160円33銭付近の前東京終値比で約95銭の円安ユーロ高であった。 主な要因は、今日の日本市場の日経平均株価の大幅高を受けては、株価上昇時のリスク選好のリスクオンで低リスク通貨の円売りで欧州ユーロや英国ポンドが買われやすかった。 そのため、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は188円29銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の186円29銭付近の前東京終値比で約2円0銭の大幅な円安ポンド高であった。 ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1029ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.1020ドル付近の前東京終値比で約0.09セントのユーロ高ドル安であった。 主な要因は、欧州は中国を主要貿易先に持つが、米国相互関税政策で一部国への90日間の一時停止による米国関税ディール交渉への猶予期間ができた一方で、中国は米国への報復関税の姿勢を崩してはおらず、米中貿易摩擦懸念の燻りでは、今日の午後の欧州市場の参入では対ドルで欧州ユーロが買い戻される値動きが入っていた。 今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年4月10日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時19分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時19分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。通貨ペア | JST 19:19の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 145.87 〜 145.88 | +0.36 (円安) |
ユーロ/円 | 161.40 〜 161.41 | +1.07 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.1063 〜 1.1065 | +0.0043 (ドル安) |
英ポンド/円 | 188.06 〜 188.12 | +1.77 (円安) |
スイスフラン/円 | 173.27 〜 173.33 | +1.14 (円安) |
豪ドル/円 | 90.08 〜 90.12 | +2.38 (円安) |
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