FXニュース:日米交渉は為替議論せず
2025年4月17日
東西FXニュース – 2025年04月17日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米相互関税不透明感影響
- 米小売売上高は予想以上
- 米FRBパウエル議長発言
- 米株価大幅安リスクオフ
- 今年最大円高ドル安更新
- 日米関税交渉見直し要求
- 日経平均株価が大幅上昇
- 欧ECB理事会発表を控え
今日2025年4月17日木曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の141円84銭付近から、円の高値でドルの安値の142円92銭付近の値幅約1円8銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は142円84銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の142円14銭付近の前東京終値比で約70銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、「中国政府が、米国政府が敬意を示すならば交渉に応じる」という一部報道が市場で話題になり、昨夜17時28分頃にドルは円相場で一時142円95銭付近に反発したため、欧州英国市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時142円66銭付近の始値であった。
米国市場では、昨夜21時30分に最新米国重要経済指標の3月米国小売売上高が発表され、前月比は前回の0.2%と市場予想の1.3%を上回る1.4%で、自動車を除くコアな前月比も前回と市場予想の0.3%と前回上方修正の0.7%に対し0.5%といずれも市場予想以上であったが、米国関税政策への先行き不透明感や日米関税交渉で円安是正などの為替も議論対象となる可能性への警戒感などでは、ドルは円相場で様子見の強い値動きを見せていた。
また、昨夜22時15分に発表された3月米国鉱工業生産の前月比は、前回の0.7%と前回上方修正0.8%と市場予想の−-0.2%を下回る−0.3%に低下し、同時発表だった3月設備稼働率も前回の78.2%と市場予想の78.0%を下振れする77.8%であったことや、米国ニューヨーク株式市場で米国主要株価三指数が揃って前日比のマイナス圏から始まったことも低リスク通貨の円に対するドルの上値を重いものとさせていた。
昨夜22時45分には、北米カナダ銀行 (BoC / Bank of Canada) が加政策金利を発表し、米国関税政策の不透明感などへの警戒感が燻る中で経済に与える影響への慎重さを示し、市場予想通りの2.75%の金利据え置きであったことでは、これまで7会合連続で利下げした後の8会合ぶりの金利維持となり、ドル売りでカナダドルが買われた外貨影響があった。
昨夜23時の4月米国NAHB (National Association of Home Builders / 全米住宅建設業者協会) 住宅市場指数は、前回の39と市場予想の37を上回る40であったことなどでは、米国ニューヨーク債券市場で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が反発上昇し、昨夜23時40分頃に一時4.354%付近に下げ幅を縮小し、深夜24時25分頃に対ドル円相場は一時142円86銭と昨夜の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、午前2時30分頃から市場注目度の高い次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム(ジェイ)・パウエル議長の発言が始まり、ワシントンのエコノミッククラブのイベントで、「不確実性と下振れリスクが高まっているにも関わらず、米国経済は堅調」であると述べ、「米国関税政策による米国経済への影響は、予想よりも大きい可能性が高い」ことで「価格の安定化と雇用の最大化のFRBの責務に緊張が生じるシナリオに陥る可能性がある」としたものの、「当面は、政策スタンスへの調整を検討する前に、より明確な状況が明らかになるまで待つことができる」と、政治圧に屈さずにデータ次第で早期の追加利下げを急がない慎重な姿勢を続けたことから、先日にクリストファー・ウォラー理事が2つの想定シナリオの1つで述べた「米国景気後退時には大幅利下げを支持する可能性」や市場介入による景気支援策への期待感が後退した。
また、米国トランプ関税や貿易摩擦などへの警戒感などで最近はニュースを受けて乱高下を繰り返している市場について、「困難な状況にあっても、市場は正常に機能している。本来あるべき動きをしており、秩序立って機能していると思う」としており、急落時の市場介入があるかどうかの質問に対し、現状では「説明付きのノー」としたことも、FRBによる市場支援策への期待感も後退した。
米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が揃って前日比で大幅安の終値に向け、米国主要株価三指数下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で低リスク通貨の円買いドル売りが起き、午前4時27分頃にドルは円相場で一時141円64銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録し、この時点での2024年9月以来の今年最大の円高ドル安を更新した。
同じくユーロドルでもドル売りが起き、一時1.1413ドルと日通しの欧州ユーロの対ドルの高値を記録したほか、主要通貨全般に対するドル指数 (ドルインデックス) も一時99.17付近に低下していた。
午前4時台の米国ニューヨーク債券市場では、米国主要株価の大幅下落を受けた安全資産の米国債買いの影響により、米国債券価格上昇に伴う利回り低下が起き、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.272%付近にまで低下したことも、米国長期金利低下時の主要通貨に対するドル売り要因となっていたが、早期の追加利下げ予想が後退したことでは、米国長期金利はその後には反発して下げ幅を縮小し始めたことでは、市場終盤にはドルは円相場で下げ幅をやや縮小したが、市場支援策への期待感の後退や日米関税交渉の中で円安是正の通貨問題が論じられる可能性などへの警戒感からは、この時間の円相場でのドルの買い戻しは重いものとなっていた。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の142円86銭付近から、円の高値でドルの安値の141円64銭付近の値幅約1円22銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は141円88銭付近と、前営業日同時刻の143円21銭付近の前ニューヨーク終値比では約1円33銭の大幅な円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、米中貿易摩擦懸念などが燻る中で、米国経済の先行き不透明感によるドル売りと日米関税交渉で円安是正などの為替問題も議題になることへの警戒感があり低リスク通貨の円買いで、今朝8時35分頃にドルは円相場で一時141円61銭付近と、今年最大の円高ドル安を再び更新していた。
今朝8時50分には日本の最新経済指標の3月日本貿易統計の発表があり、通関ベースの季調前は前回の5845億円と前回修正の5905億円と市場予想の4853億円に対し5441億円の黒字であったが、通関ベースの季調済では前回の1823億円と前回修正の1914億円と市場予想の−2510億円に対し−2336億円の赤字であった。
今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時141円93銭付近の始値で、今朝9時0分の1分間の値動きの中で瞬時記録した一時141円84銭付近が、今日の日本市場の円の高値でドルの安値となった。
日本市場では、今朝のニュースで、米国ワシントンを訪問中の日本政府の赤沢亮正経済財政・再生相が、米国政府との日米関税交渉の初会合を終えて、米国相互関税や自動車や鉄鋼・アルミの関税などの「全般的な見直しを求めた」と述べており、「早期の合意をめざすことで一致した」と、米国側が「90日以内のディール(取引)を望んでいる」と、今月中にも再交渉をする前向きな姿勢を示したことでは日経平均株価が上昇し、株価上昇時の低リスク通貨の円売りが起き始めたことに加えて、市場が警戒していた円安是正などの為替問題については、「為替は議題にならなかった」と発言したため、市場警戒感の緩和を受けた円売りドル買いが起きて、ドルは円相場で大幅な上昇を見せた。
また、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の植田和男総裁が、今朝の参院財政金融委員会で、米国関税政策をめぐる不確実性が「急速に高まっている」と警戒感を示し、日本経済への影響を「今後の日銀金融政策決定会合で予断をもたずに点検する」と慎重な姿勢を見せたことでも、日銀の早期の追加利上げ予想が後退した。
今日の東京株式市場では、午後15時30分には今朝から上昇していた日経平均株価が3万4377円60銭の終値をつけ、前日比457円20銭高の+1.35%の大幅高で大引けし、株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) で国内第一安全資産の低リスク通貨の円が売られたことに続き、欧州市場と英国ロンドン外国為替市場参入後の夕方16時35分頃には、世界的な安全資産の米国債も売られた影響などで時間外の米国債券取引で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利府が一時4.327%付近に上昇し、米国長期金利上昇時の円売りドル買いの影響もあり、日本市場終盤の夕方16時58〜59分頃に対ドル円相場は一時142円92銭付近と、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は142円84銭付近で、昨夜17時の142円14銭付近の前東京終値比では約70銭の円安ドル高になった。
今夜この後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、今夜21時15分に欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会の政策金利と声明の発表が予定されており、また今夜21時45分頃からECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁の発言予定も控えている。
今夜この後の米国市場でも、最新米国経済指標の発表予定と次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の発言予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に3月米国住宅着工件数と3月米国建設許可件数と4月米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数と、前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数が同時発表され、続いて深夜 24時45分頃から次回のFOMC投票権を持つFRBのマイケル・バー理事の発言予定などを控える。
また、米国株式市場では、明日の朝の株引け後の時間になる予定と伝わっているが米国ネットフリックス (Netflix) の決算報告予定などがあり、今週金曜日のグッドフライデー (Good Friday) から来週月曜日のイースターマンデー (Easter Monday) までの欧米連休を控えた世界の株式市場と債券市場やコモディティ市場などの為替相場への影響や、米国相互関税ディール交渉を含めた政治影響に加えて、世界情勢と要人発言などのファンダメンタル分析向けのニュースは、テクニカル分析と共に世界のFXトレーダー達の値動き予想材料になっている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は162円51銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の161円79銭付近の前東京終値比で約72銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、今日の日本市場では日経平均株価の大幅高を受けたリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りや、日米関税交渉などの報道を受けた円の利益確定売りや持ち高調整が対ドルだけでなく欧州ユーロや英国ポンドにも入りやすかった。
その影響から、英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は189円15銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の188円76銭付近の前東京終値比で約39銭の円安ポンド高であったが、その後には小幅な円高ポンド安にも転じている。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1380ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.1388ドル付近の前東京終値比で約0.08セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、今日の夕方の米国長期金利上昇を受けた主要通貨に対するドル買いの影響があったほか、今夜この後に欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会を控え、欧州追加利下げ予想などが出ており、イベントリスクも為替相場に影響を与えていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年4月17日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時49分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時49分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 19:49の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 142.53 〜 142.54 | +0.39 (円安) |
ユーロ/円 | 161.92 〜 161.94 | +0.20 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.1362 〜 1.1364 | −0.0026 (ドル高) |
英ポンド/円 | 188.54 〜 188.60 | −0.22 (円高) |
スイスフラン/円 | 174.45 〜 174.51 | −0.13 (円高) |
豪ドル/円 | 90.54 〜 90.58 | +0.32 (円安) |
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