FXニュース:米FRB独立性懸念が後退
2025年4月23日
東西FXニュース – 2025年04月23日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米中貿易摩擦警戒感緩和
- 米主要株価三指数大幅高
- 米トランプFRB解任否定
- 日経平均株価も大幅上昇
- 日米財務相会談観測続く
今日2025年4月23日水曜日の日本の東京外国為替市場の今朝9時頃から今夜17時頃までの対ドル円相場の為替レートの値動きは、円の安値でドルの高値の142円71銭付近から、円の高値でドルの安値の141円52銭付近の値幅約1円19銭で、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は140円78銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の140円28銭付近の前東京終値比で約50銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) マーケット・トレンドの動向と分析はまず、昨日の日本市場で米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の独立性の危機への懸念などから今年最大の円高ドル安などを記録後のドルには主要通貨に対する買い戻しが入り、昨夜17時44分頃の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会の利下げ継続予想の影響もあり、ドルは円相場で一時140円63銭付近に買い戻されたが、利益確定売りや持ち高調整で反落したため、昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時140円25銭付近の始値で、昨夜21時6分頃には一時140円21銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録していた。
ただし、昨夜22時30分頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のフィリップ・ジェファーソン副議長の発言が始まり、米国フィラデルフィア連邦準備銀行主催の経済的モビリティーサミットの講演で、「物価安定と雇用最大化というFRBの目標が、経済的モビリティー(移動性)の促進に役立つ」と述べ、タイトな米国労働市場が賃金格差を是正するが「物価安定が不可欠」であることを強調したことでは、米国インフレ抑制のための米国政策金利予想が意識され、再びドルの買い戻しが入り始めたが、昨夜23時に発表された最新米国経済指標の4月米国リッチモンド連銀製造業指数は前回の−4と市場予想の−7を下回る−13であったことは抵抗になっていた。
とはいえ、同時進行中の欧州市場では、昨夜23時頃から始まった欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のクリスティーヌ・ラガルド総裁の発言では、「欧州インフレ率を2%へと戻す目標はほぼ達成したが、経済情勢は一段と不安定なため、引き続き柔軟な姿勢でいる必要がある」としたことや、ECBのルイス・デギンドスECB副総裁は「欧州経済成長の下振れリスクが顕在化している」などと発言したことなどから、欧州ユーロに対するドルの買い戻しも入っていた外貨影響も対ドル円相場に波及していた。
また、米国政府のスコット・ベッセント財務長官が、米国ワシントンD.C.で開催された国際通貨基金 (IMF / International Monetary Fund) と世界銀行春季総会のサイドイベントの米国JPモルガン・チェースの投資家会合で、「米国相互関税政策をめぐる中国との貿易摩擦の対立は両国にとって持続不可能で、緊張緩和の道を見つけなければならない」と発言し、貿易封鎖のような中国の切り離しは米国が目指すものではないと説明し、「緊張緩和は近く実現する」とし、「より包括的な合意には時間がかかる可能性があるが、数カ月以内に緊張が和らぎ市場に安心感をもたらし得る」と、楽観的な意見を述べたことが話題になり、前日のトリプル安(株安・債券安・通貨安) からの買い戻しが勢いを増し。米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数が揃ってプラス圏で上昇推移し、株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) で低リスク通貨の円売りが起きた。
「米国と中国との包括的合意は、2〜3年以内にまとまる可能性があるが、こうした包括的な合意に向けた交渉は現時点ではまだ始まっていない」とも述べていた先ほどのスコット・ベッセント米国財務長官の発言についてメディアに問われたドナルド・トランプ米国大統領も、「中国と上手くやっている」と発言し、「厳しい交渉になるとは考えていない」と楽観視しており、「中国に対する追加関税率は現行の145%から大幅に下がるだろうが、ゼロにはならないだろう」、「我々は穏やかに接するつもりだ。彼らも同じようにするだろう。そしてどうなるか見てみよう。だが、最終的には彼らは同意する必要がある。さもなければ、米国でビジネスができなくなるからだ」と関税ディール政策について述べていた。
米国ホワイトハウス報道官も、「中国との関係は良い方向に進んでいる」ことや、「ドナルド・トランプ大統領は、中国との合意に向けて準備を進めている」と発言したニュースがあった。
米中貿易摩擦への過度な警戒感が緩和された米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (DJIA / Dow Jones Industrial Average) と米国S&P 500種株価指数 (S&P500 / Standard and Poor’s 500 index) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が揃って大幅に上昇し、前営業日比で大幅高値の終値をつけたため、株価上昇によるリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りで、午前5時1分頃にドルは円相場で一時141円67銭付近と、米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
この日の米国市場では、欧州ユーロや英国ポンドなどの主要通貨全般に対するドルインデックス (ドル指数) も、一時99.00付近に上昇していた。
このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の140円21銭付近から、円の安値でドルの高値の141円67銭付近の値幅約1円46銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は141円57銭付近と、前営業日同時刻の140円86銭付近の前ニューヨーク終値比で約71銭の円安ドル高をつけた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、ドナルド・トランプ米国大統領が、「米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長を解任する意向は持っていない」と発言したニュースが話題になり、前日のドル売りの要因となっていたFRBの独立性の危機への懸念が後退し、ドルの買い戻しが強まったことで、今朝7時38分頃にドルは円相場で一時143円21銭付近と、一時143円台に急騰した。
しかし、今日の日本市場に向けて、今週の日米財務相会談で円安是正などの為替問題が議論される可能性の観測報道などが続いていたことでは円の買い戻しが入り始めたため、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時142円70銭付近の始値で、今朝9時0分の1分間の値動きの中で瞬時記録した一時142円71銭付近が、今日の日本市場の円の安値でドルの高値となり、ドルは円相場で上昇幅を縮小した。
今日の東京株式市場では、今朝までの米国主要株価三指数の上昇を受けて、日経平均株価がプラス圏に上昇して始まり、プラス圏の推移を継続し、午後15時30分頃に3万4868円63銭の終値をつけ、前日比648円3銭高の+1.89%の大幅高で大引けしたことは抵抗になったが、昨夜の米中貿易摩擦懸念の緩和を受けては、中国を主要貿易先に持つ豪ドルが対ドルで買われた外貨影響の波及なども見られた。
午後からの欧州市場の参入では、夕方16時15分に発表された欧州ユーロ圏のフランスの最新景気指標の4月仏製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) の速報値が前回の48.5と市場予想の48.0に対し48.2と市場予想以上であったことでは、欧州ユーロが流動性の高いドルに対して買い戻された外貨影響が対ドル円相場に波及し、午後16時16分にドルは円相場で一時141円52銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、4月仏サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 速報値は、前回の47.9と市場予想の47.6を下回る46.8で、夕方16時30分に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの4月独製造業購買担当者景気指数 (PMI) 速報値は前回の48.3と市場予想の47.6に対し48.0と市場予想以上であったが、4月独サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 速報値は前回の50.9と市場予想の50.3を下回る48.8で、今夜17時の欧州ユーロ圏総合の4月欧州製造業購買担当者景気指数 (PMI) 速報値は前回の48.6と市場予想の47.5を上回る48.7であった一方で、4月欧州サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 速報値は前回の51.0と市場予想の50.5を下回る49.7と、市場予想以上の欧州製造業と市場予想以下の欧州サービス部門に強弱混合となっていたことでは、ドルは円相場で反発した。
このため、今夜17時の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は140円78銭付近で、昨夜17時の140円28銭付近の前東京終値比では約50銭の円安ドル高になった。
なお、G20 (主要20か国・地域) 財務相中央銀行総裁会議は、今夜23日と明日24日に開催され、終了後の米国現地時間24日の午後に日米財務相会談が予定されている。
今夜この後の米国市場では、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達の発言予定と最新米国経済指標の発表予定や米国債入札予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時頃から次回のFOMC投票権を持つFRB高官の米国シカゴ連銀のオースタン・グールズビー総裁の発言予定と、今夜22時30分頃から同じくFOMC投票権を持つFRB高官の米国セントルイス連銀のアルベルト・ムサレム総裁の発言予定、今夜22時35分頃から同じくFOMC投票権を持つFRBのクリストファー・ウォラー理事の発言予定と、今夜22時45分に4月米国製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) と4月米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) と4月米国総合購買担当者景気指数 (PMI) の速報値と、今夜23時に3月米国新築住宅販売件数年率換算件数と、26時に米国5年債入札予定、27時にFRBが最新の米国地区連銀経済報告のベージュブック (Beige Book) を発表する予定である。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は161円47銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の161円39銭付近の前東京終値比で約8銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、今日の日経平均株価の大幅な上昇を受けたリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りがあったことに対し、今日の夕方の欧州製造業の景気指標が軒並み市場予想以上であったことで欧州ユーロが買われた時間があった。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.1388ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の1.1506ドル付近の前東京終値比で約1.18セントの大幅なユーロ安ドル高であった。
主な要因は、米中貿易摩擦懸念緩和や米国連邦準備制度理事会 (FRB) の独立性の危機への警戒感が緩和されたことでドルが買い戻された一方で、欧州中央銀行 (ECB) の欧州追加利下げ予想などが影響を及ぼしていた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は188円69銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の187円64銭付近の前東京終値比で約1円5銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、今日の日経平均株価の大幅上昇を受けた株価リスクオンで、低リスク通貨の円に対して英国ポンドが買われた影響があった。
なお、今夜17時30分に発表された4月英国製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) 速報値は前回の44.9に対し市場予想通りの44.0で、4月英国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 速報値は前回の52.5と市場予想の51.5を下回る48.9であった。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2025年4月23日の日本時間(JST / Japan Standard Time)の19時31分(チャート画像の時間帯は英国夏時間 (BST / British Summer Time / JST-8) の英国ロンドン外国為替市場時間の11時31分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。なお、米国市場は2025年3月9日から11月2日まで米国夏時間 (DST / Daylight Saving Time / JST-13) に日本との時差が1時間短縮に調整されており、欧州英国市場も2025年3月30日から10月26日まで英国夏時間のサマータイム (BST / British Summer Time / JST-8) に時差調整されたことには注意が必要である。
通貨ペア | JST 19:31の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 141.91 〜 141.93 | +1.63 (円安) |
ユーロ/円 | 161.67 〜 161.69 | +0.28 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.1391 〜 1.1393 | −0.0115 (ドル高) |
英ポンド/円 | 188.72 〜 188.78 | +1.08 (円安) |
スイスフラン/円 | 172.23 〜 172.29 | −0.91 (円高) |
豪ドル/円 | 90.85 〜 90.89 | +0.83 (円安) |
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