マーケットコメント:HFが原油を買い越し?過去1年で残高最大!

2024年12月23日
12月23日、本ページでは、ヘッジファンドによる原油の買いポジション残高がここ1年で最大となった件について、その背景を分析します。


東西FXマーケットコメント – 2024年12月23日

文/宇佐美幸弥 – 東西FXリサーチチーム

東西FXではFXとマクロ経済リサーチを担当しております宇佐美と申します。

本日は、ヘッジファンドによる原油の買い増しポジションがここ1年で最大となった件について、その背景と今後のトレンドを分析します。メインテーマは原油を買い増すヘッジファンドとドルカナダのテクニカル分析。

【12月23日】HFが原油を買い越し?過去1年で残高最大!

先日20日、ヘッジファンドの原油買い増しポジションがここ1年で最大となっていることがBloombergから報じられた。

Bloombergによれば、米先物取引委員会におけるWTIのネットロング(買い越し残高)が16万2101枚と先週から7215枚増えた結果となった。この買い越し残高は2023年9月以来最高とのこと。

この背景には、イランやロシア、中東の地政学リスク懸念による原油供給量への懸念や、中国の景気支援策による原油需要の増大予測があると考えられる。

同じ商品先物として、ココアもまた直近大きく上昇している。こちらの背景には、天候的な要因による原産地である西アフリカでのここ数年続いている不作がある。ココアは一度木が植えられてから身をつけるまで数年かかるため、こちらも現状短期的な回復は難しいと予測されている。

このように、商品価格が高騰しつつある現在、米国の消費者物価指数は下落スピードが低下しつつあり、インフレ再燃懸念が市場では高まりつつある。もし、米国のインフレが本格的に再燃されるような事態となれば、インフレヘッジから原油やココア、金といった商品先物はさらに買われ、価格が上昇する可能性があるだろう。

ドルカナダテクニカル分析〜ドルカナダの現況と今後の推移予測

以下の図(Investing.comより)はドルカナダの日足チャートである。

この図を見れば、ドルカナダは直近急激な上昇トレンドとなっていることがわかる。

テクニカル分析の観点で言えば、長期移動平均線は上向きに転じており、25日移動平均線も含めて綺麗な上昇トレンドの形を形成している。一方で、オシレーター指標を見ると、RSIは買われすぎゾーンのかなり深い位置で推移しており、短期的な反落を示唆している。

ファンダメンタルの観点では、米国経済の堅調性からドル高がすぐに回復するとは思えないものの、中国の景気支援や中東の地政学的リスク上昇から原油先物の価格が増大すれば、原油輸出をメイン産業の一つとしているカナダは、対ユーロや円ベースでは上昇する可能性がある。

これらを踏まえると、ドルの堅調性は明らかであるものの、ドルカナダがこのまま持続的に上昇するという主張をするには疑問の余地がある。少なくとも、ドルのロングポジションを構築するのであれば、対ユーロやスイスフランなどの方が有益であるように思える。


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