FX週刊ニュース(9月1週)|米ドル/円:止まらぬ円安の加速。24年ぶりの円安水準へ

2022年9月05日
FX週刊ニュース(9月1週)|米ドル/円:止まらぬ円安の加速。24年ぶりの円安水準へ

東西FX週刊ニュース – 2022年9月5日

高田 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米ドル/円:止まらぬ円安の加速。24年ぶりの円安水準へ。
  • ユーロ/米ドル:止まらぬユーロの下落。ユーロ/米ドルは今後どうなる?
  • 英ポンド/米ドル:対ドルで大幅な安値、景気後退懸念か?
  • 豪ドル/米ドル:大きく変動はなかった市場。目立つ豪ドルの安定性。
  • 止まらぬ原油価格の高騰。イギリスの今後のエネルギー政策は?
  • 安定をしている金相場。今後はドルの動きに影響を受けるか?

  • 米ドル/円:円安の加速。今週中に120円突破か?

1日の外国為替市場で、円相場は一時、1ドル=140円台をつけました。1998年8月以来、24年ぶりの円安水準です。

1日のニューヨーク外国為替市場では円を売ってドルを買う動きが進み、日本時間の1日の午後11時24分頃に円相場は一時、1ドル=140円台をつけました。1ドル=140円台は1998年8月以来24年ぶりの円安水準です。アメリカで発表された製造業の景況感を示す指数が予想を上回る数値だったことなどから、アメリカの利上げペースが加速するとの見方が強まりました。急速な円安がすすんだ背景には日米の中央銀行総裁のかたくなな姿勢があります。

1998年8月以来、24年ぶりの円安水準アメリカの中央銀行にあたるFRBのパウエル議長は先日アメリカで行われた経済シンポジウム=ジャクソンホール会議でインフレを抑え込むため、金融引き締めについて「やり遂げる」と強い姿勢を示しました。一方、日本銀行の黒田総裁は同じ会合で、賃金と物価が持続的に上昇するまで、「金融緩和以外に選択肢はない」と金融緩和で金利を抑える姿勢を崩していません。アメリカで金利が上がり、日本は金利が低いままであれば、ドルで資金を運用した方がより多くの利益が出るとして、円を売ってドルを買う動きが強まっています。

  • ユーロ/米ドル:止まらぬユーロの下落。ユーロ/米ドルは今後どうなる?

ユーロ/ドルの下落に歯止めがかからない。8月下旬には一時0.9901ドルと2002年12月初旬以来、約19年8カ月ぶりの安値圏まで売り込まれた。

今年2月上旬、ロシアのウクライナ侵攻前に記録した年初来高値の1.1495ドルから、約半年強で15.9セント、13.9%もの値下がりだ。その後はやっと下げ渋ったが、1ユーロ=1ドルの等価交換(パリティー)を超えると伸び悩み、戻りの鈍い印象が否めない。ユーロ/ドル軟化の背景は明白だ。欧州連合(EU)の対ロシア経済制裁の長期化により強まる同国産エネルギーの供給不安にさいなまれ、欧州では天然ガス価格が高騰して景況感が下振れ、物価高と景気後退が同時に起きるスタグフレーション懸念が強まっている。悪い時には悪い事が重なるもので、今年の夏は強烈な熱波が欧州に襲来、欧州委員会によれば「少なくとも過去500年で最悪」の干ばつに見舞われている。

主要河川の水位が低下して物流にも悪影響が及んでいるほか、農作物の収穫量も減少、南欧地域では大規模な山火事も起きて、水力発電にも深刻な影響が出ているらしい。ユーロ/ドルとドル/円の掛け算で決まるユーロ/円は値動きが複雑になるので手を出し難いが、心理的に重要な節目となる1ドル未満のユーロなら、時間を味方につける長期戦のつもりで買ってみるのも面白そうだ。「今日買ったユーロ/ドルが数カ月以内に益出しできるか」と聞かれたら自信はないが、投資の時間軸を数年以上に伸ばせる資金があるなら「パリティー割れのユーロ/ドル」を買い下がるのも良いと考えている。

  • 英ポンド/米ドル:対ドルで大幅な安値、景気後退懸念か?

英ポンドが対ドルで下落している。30日の外国為替市場では1ポンド=1.16ドル台と2年5カ月ぶりの安値をつけた。31日の東京市場でも同水準で推移した。9月5日には与党・保守党の新党首が選出される。新政権の経済対策が景気後退を防げるか不透明感が強く、ポンド売りが膨らんでいる。ニューヨーク外国為替市場でポンドドルでは、米8月非農業部門雇用者数が前月比+31.5万人と予想を上回ったことで140.80円まで上昇後、失業率の上昇や平均時給の鈍化を受けて米10年債利回りが3.17%台まで低下し、また米10年債利回りの低下で上昇後、「ノルドストリーム1」の再開延期を受けて1.1ドル付近まで下押しした。

  • 豪ドル/米ドル:大きく変動はなかった市場。目立つ豪ドルの安定性。

今週もオーストラリアドルは安定傾向であった。豪ドル/米ドルは0.6900あたりで推移し、大きな上昇下落は見られなかった。

豪ドルの政治的安定も経済へ良い影響を与えており、当分の間はオーストラリア国内で大きな問題は発生しなさそうだ。

唯一の懸念は世界経済の減速である。世界全体の後退懸念が資源国通貨である豪ドルの上値を抑える可能性が十分に考えられる。豪州国内の景気がいくら堅調な回復を見せていても、世界経済の減速によって資源需要が減退。ゆくゆくは豪州の輸出減に繋がり、豪経済に悪影響を与えるとの考え方からだ。

周知の通り、アメリカ、ヨーロッパ諸国をはじめとした。「主要国の金融引き締め方針」という金融政策の方向性の違いが世界経済に影響を与えてきており、長期目線で豪ドルにどのような影響を与えるかを専門家は懸念をしている。

  • 止まらぬ原油価格の高騰。イギリスの今後のエネルギー政策は?

エネルギー問題に苦しむイギリスが新たな政策を打ち出すかもしれない。英国のトラス外相は、首相に選ばれれば、政権発足後1週間以内にエネルギー価格高への対策を講じると表明した。

英与党の保守党がジョンソン首相の後任を選ぶ党首選の決選投票は、トラス外相がスナク前財務相に勝利して首相に就任すると予想されている。

トラス氏はサンデー・テレグラフ紙への寄稿で、生活費の上昇が国民にどれほど困難なものであるかを理解しているとし「家族や企業がこの冬と次の冬を乗り切ることができるようにするため、断固たる措置を取る」と述べた。

「(首相に)選出された場合、新政権の最初の週にエネルギー関連法案とエネルギー供給に関する行動を起こす」と説明した。

サンデー・タイムズ紙が財務省当局者の発言で報じたところによると、トラス氏の計画の費用は1000億ポンド(1150億ドル)を超え、大半を政府の借り入れにより賄うことになる。

  • 安定をしている金相場。今後はドルの動きに影響を受けるか?

米連邦準備制度理事会(FRB)の影響を受け、ニューヨーク金先物価格(NY金)は、1トロイオンス(約31グラム)=1800ドル台半ばの高値を維持している。FRBによる強硬な引き締め策はドル高と米長期金利の上昇につながり、金利がつかない金の市場には強烈な向かい風になるのが通常だ。NY金がしぶとく1800ドル台半ばを維持している理由として、経済のデフレ化を恐れたFRBによるドル供給があり、そしてコロナ情勢ウクライナ情勢不安と21世紀にはいり、歴史的な世界的な情勢不安が続く中、法定通貨への不安を投資家は潜在的に持っており、それらが金への購買意欲につながっているようだ。

今週の経済指標カレンダー
時間 経済指標(イベント) 通貨 重要度
月曜日 – 2022年9月5日
1日中 アメリカ – レイバーデイ 祝日
1日中 カナダ – レイバーデイ 祝日
09:30 Nikkeiサービス業PMI (8月) JPY
10:30 企業売上総利益 (前期比) (Q2) AUD
10:30 小売売上高 (前月比) AUD
10:45 中国Caixin(財新)サービス業PMI (8月) CNY
16:00 国内総生産 (前期比) (Q2) CHF
16:00 スイス国内総生産 (前年比) (Q2) CHF
16:15 サービス業PMI (8月) EUR
16:45 イタリアサービス業購買管理者指数 (8月) EUR
16:50 サービス業購買担当者景気指数 (8月) EUR
16:55 サービス業購買部協会景気指数 (8月) EUR
17:00 マーケット総合PMI (8月) EUR
17:00 サービス業購買部協会景気指数 (8月) EUR
17:30 総合PMI (8月) GBP
17:30 サービス業購買部協会景気指数 (8月) GBP
18:00 小売売上高 (前月比) (7月) EUR
19:00 OPEC会議 USD
火曜日 – 2022年9月6日
00:30 イングランド銀行金融政策委員会委員マン委員発言 GBP
08:01 BRC小売売上高 (前年比) (8月) GBP
08:30 消費支出 (前月比) (7月) JPY
08:30 家計調査・消費支出 (前年比) (7月) JPY
10:30 経常収支 (Q2) AUD
13:30 政策金利発表 (9月) AUD
13:30 RBA政策金利声明 AUD
15:00 製造業新規受注 (前月比) (7月) EUR
16:30 IHS マークイット 建設業購買部協会景気指数 (8月) EUR
17:30 建設業購買担当者景気指数 (8月) GBP
19:30 ドイツBubaマウデラー氏発言 EUR
22:45 マーケット総合PMI (8月) USD
22:45 サービス業購買部協会景気指数 (8月) USD
23:00 ISM非製造業雇用指数 (8月) USD
23:00 ISM非製造業指数 (8月) USD
水曜日 – 2022年9月7日
00:00 世界乳製品取引価格指数 NZD
10:30 国内総生産 (前年比) (Q2) AUD
10:30 国内総生産 (前期比) (Q2) AUD
12:00 オーストラリア準備銀行 エリス総裁補発言 AUD
12:00 中国輸出 (前年比) (8月) CNY
12:00 中国輸入 (前年比) (8月) CNY
12:00 貿易収支 (米ドル) (8月) CNY
15:00 ハリファックス社価格指数 (前年比) GBP
15:00 Halifax住宅価格指数 (前月比) (8月) GBP
15:00 国内総生産 (前期比) (Q3) EUR
15:00 国内総生産 (前年比) (Q3) EUR
15:00 鉱工業生産 (前月比) (7月) EUR
16:35 ドイツ連銀のブルクハルト・バルツ氏発言 EUR
17:20 ECBマッコール氏発言 EUR
18:00 BOEベイリー総裁発言 GBP
18:00 イングランド銀行金融政策委員会委員マン委員発言 GBP
18:00 BoEのMPCピル委員発言 GBP
18:00 BoE 金融政策委員会テンレイロ委員発言 GBP
18:00 国内総生産 (前期比) (Q2) EUR
18:00 国内総生産 (前年比) (Q2) EUR
18:20 ECB監査役会メンバー
フェルナンデス・ポジョ氏発言
EUR
21:30 輸出 USD
21:30 輸入 USD
21:30 貿易収支 (7月) USD
21:30 貿易収支 (7月) CAD
23:00 FOMCメンバー、メスター談話 USD
23:00 カナダ銀行政策金利発表 CAD
23:00 政策金利発表 CAD
23:00 Ivey購買部協会指数 (8月) CAD
23:15 MPC国家財政委員会公聴会 GBP
木曜日 – 2022年9月8日
01:00 EIA短期エネルギー見通し USD
02:15 ECBの監査役会メンバーJochnick氏発言 EUR
03:00 ベージュブック(米地区連銀経済報告) USD
08:01 RICS住宅価格指数 (8月) GBP
08:50 季節調節済み経常収支 JPY
08:50 経常収支(季節調整なし) (7月) JPY
08:50 国内総生産 (前年比) (Q2) JPY
08:50 国内総生産 (前期比) (Q2) JPY
10:30 貿易収支 (7月) AUD
12:05 ロウRBA総裁発言 AUD
14:30 非農業部門雇用者数 (前期比) (Q2) EUR
14:45 季節調整なし失業率 (8月) CHF
14:45 季節調整済み失業率 (8月) CHF
21:15 預金ファシリティ率 (9月) EUR
21:15 欧州中銀限界常設貸出ファシリティー EUR
21:15 ECB金融政策発表 EUR
21:15 ECB監査役会メンバー
フェルナンデス・ポジョ氏発言
EUR
21:15 政策金利発表 (9月) EUR
21:30 失業保険申請件数 USD
21:45 欧州中央銀行記者会見 EUR
22:10 FRBパウエル議長発言 USD
23:15 ラガルドECB総裁 発言 EUR
金曜日 – 2022年9月9日
00:00 原油在庫量 USD
00:00 クッシング原油在庫 USD
00:25 BoC上級副総裁ロジャース氏発言 CAD
07:45 電子カード小売り販売数 (前月比) (8月) NZD
10:30 消費者物価指数 (前月比) (8月) CNY
10:30 消費者物価指数 (前年比) (8月) CNY
10:30 生産者物価指数 (前年比) (8月) CNY
19:00 ユーロサミット EUR
21:30 雇用者数 (8月) CAD
21:30 失業率 (8月) CAD
土曜日 – 2022年9月10日
01:00 FRBウォラー氏発言 USD
01:00 FOMCメンバー ジョージ 談話 USD
02:00 ベーカー・ヒューズ社のリグ・カウント USD
02:00 ベーカーヒューズ社発表の米石油採掘リグ稼働数 USD
04:00 ドイツBubaマウデラー氏発言 EUR
04:30 米国商品先物取引委員会 英ポンド
投機的ネットポジション
GBP
04:30 CFTC原油の投機的なネットポジション USD
04:30 米国商品先物取引委員会 金
投機的ネットポジション
USD
04:30 米国商品先物取引委員会 Nasdaq 100
投機的ネットポジション
USD
04:30 米国商品先物取引委員会 S&P500
投機的ネットポジション
USD
04:30 米国商品先物取引委員会 豪ドル
投機的ネットポジション
AUD
04:30 米国商品先物取引委員会 円
投機的ネットポジション
JPY
04:30 米国商品先物取引委員会 ユーロ
投機的ネットポジション
EUR


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