FX週刊ニュース(10月3週)|英ポンドはパリティ割れの懸念へ。1ポンド=1.09ドル代に

2022年10月17日
FX週刊ニュース(10月3週)|英ポンドはパリティ割れの懸念へ。1ポンド=1.09ドル代に

東西FX週刊ニュース – 2022年10月17日

高田 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米ドル/円:32年ぶりの高値へ。1ドル=148円台後半へ。
  • ユーロ/米ドル:ユーロ米ドルの買い戻しが優勢に。ユーロはさらに下落方向へ。
  • 英ポンド/米ドル:英ポンドはパリティ割れの懸念へ。1ポンド=1.09ドル代に。
  • 豪ドル/米ドル:最安値に近づき始めた豪ドル。中国経済の回復に伴い豪ドルはどうなる?
  • バレルの大幅減産始まる。米国も更なるバレルの放出へ。
  • 金価格軟調傾向か。1トロイオンス=1700ドルの安値水準。

  • 米ドル/円:32年ぶりの高値へ。1ドル=148円台後半へ

日米の金融政策の違いを受けた日米金利差拡大が意識され、1ドル=148円台後半と32年ぶりの安値を更新した。政府・日銀による市場介入への警戒感があるものの、円安の流れは止まっておらず、150円台も視野に入ってきた。昨年末に115円程度だった円相場は、14日までに対ドルで年初来22%強下落した。150円台を付ければ1990年8月以来となる。円安・ドル高が止まらない背景にあるのが米国の高インフレだ。13日に公表された米消費者物価指数は市場予想を上回る内容となり、インフレ抑制へ異例の大幅利上げを続ける米連邦準備制度理事会(FRB)の積極引き締め姿勢が継続するとの見方が強まった。このため、大規模金融緩和を堅持する日銀との方向性の違いが改めて浮き彫りとなり、指標発表直後にそれまで節目として意識されていた98年8月の安値147円64銭を下回った。

14日までの1週間で円相場は対ドルで3円を超える円安が進んでおり、9月22日に為替介入を実施した政府・日銀が再び介入に踏み切るかどうかが焦点だ。148円台後半まで進んだ円安を受けて、財務省の神田真人財務官は14日、「断固たる行動を取る用意がいつもできている」と過度な変動が続けば追加の介入を辞さない姿勢を示した。市場関係者からは、「節目の150円を前に介入警戒感は強まっているものの、日米の金融政策の方向性は変わらず、当面じりじりと円安が進む展開が予想される」との指摘が聞かれた。

  • ユーロ/米ドル:ユーロ米ドルの買い戻しが優勢に。ユーロはさらに下落方向へ。

12日の為替市場はドル買いが一服する中で、ユーロドルの買い戻しが優勢となっており、ユーロドルは0.9760ドル近辺まで上昇している。 13日のロンドン外国為替市場でユーロは対ドルで上昇し、英国時間16時時点は1ユーロ=0.9710~20ドルと、前日の同時点と比べ0.0020ドルのユーロ高・ドル安で推移している。英政権が大規模減税策の見直しを議論していると伝わり、英ポンドが対ドルで大幅に上昇し、ユーロも対ドルで連れ高した。

14日金曜日に8月のユーロ圏貿易収支が発表になるが、ユーロ圏の貿易赤字は8月に拡大する可能性があり、ユーロはさらに下落する可能性があるとの指摘が出ている。エネレギー危機はユーロ圏の輸出志向の経済的枠組みの根本的な転換を迫るものであり、ユーロドルのパリティ(1.00ドル)超への急速な回復を妨げる可能性があると指摘している。

自身の行動均衡為替レートモデルでは、ユーロ圏と米国の交易条件(輸出価格 ÷ 輸入価格)の差が実質的なユーロドルの中期的変動要因であることを一貫して示しており、現在はこのペアが過小評価されていないことを示しているという。

  • 英ポンド/米ドル:英ポンドはパリティ割れの懸念へ。1ポンド=1.09ドル代に。

サマーズ元米財務長官は日、英国のトラス新首相が採用した経済政策を辛辣に批判、こうした政策はポンドがドルに対して等価(パリティ)割れの水準に下落する環境を生み出していると論じた。サマーズ氏はブルームバーグテレビジョンで、「非常に申し訳ないことを言うが、英国は沈み始めた新興国のように振る舞っている」と発言。「英国の欧州連合(EU)離脱、イングランド銀行(英中銀)のひどい後手後手ぶり、今のこうした財政政策。英国は主要国で長きにわたって目にしなかった最悪のマクロ経済政策を追求したとして記憶されるだろう」と述べた。先週ポンドは1985年以来の安値水準に下落。一時、1ポンド=1.0908ドルで取引された。

  • 豪ドル/米ドル:最安値に近づき始めた豪ドル。中国経済の回復に伴い豪ドルはどうなる?

AUD/USDは先週1週間で155Pips下落し、1AUD=0.6367USDとなりました。この間、米ドルの総合的な強さを示すドルインデックスはほぼ横ばい推移ですので、通貨選好がなされ結果として、英ポンドなどが買い戻された一方で、豪ドルは売られました。年初来ではオーストラリアの値下がり幅は英ポンドや日本円などと比べて少ないため、政府が介入する状況にない点は豪ドルが売られやすかった一因と思います。

その他、OPECによる減産発表などを受けて、資源価格の総合的な価値を示すBCOMが+4.21%となっています。これは豪ドルにとってプラス要因である一方、それ以上に米ドル買い圧力が強かったことを示しています。

豪ドルの過去最安値は1米ドル=0.4773豪ドルで、実はじりじりと過去最安値が近づいてきています。現在の米ドル高は、米利上げ余地が縮小し、各国政府がドル高を牽制していることを考慮すればクライマックス局面に近いと思いますので、さすがに0.4773まで下押すことはないと思いますが、念のためここに1つのターゲットがあることは意識しておいた方がよいでしょう。その上で現実的なターゲットとしては0.60あたりになりそうだとみています。残り327Pipsですからそこまで大きく離れているわけではないです。米ドル高が一段と強まればこの辺りまでは自然と達成するでしょう。

コロナの問題も世界規模では終わりを近づいてきており、中国経済がこれから盛り上がってくる可能性が高く、中国経済と結びつきの深いオーストラリアにとって追い風となる点にあります。

  • バレルの大幅減産始まる。米国も更なるバレルの放出へ。

OPECプラスは10月5日、第33回閣僚級会合および第45回共同閣僚監視委員会をオーストラリア・ウィーンのOPEC事務局で開催し、11月以降は、2022年8月の要求生産水準から日量200万バレルの減産を行うことで合意した。

OPECプラスは6月に決定した追加増産方針に従い、8月までは日量64万8,000バレルの増産ペースを維持することで合意していたが、9月は日量10万バレルまで増産幅を縮小した。10月からは、8月の生産水準まで戻す減産を決定しており、今回はその減産幅が大幅に拡大した。

今回の合意を受け、米国ホワイトハウスは、ジェイコブ・ジェレマイア大統領補佐官(国家安全保障担当)とブライアン・クリストファー・ディーズ国家経済会議(NEC)委員長の共同声明を発表した。声明の中で、世界経済がロシアによるウクライナ侵攻の悪影響を受けていることを踏まえ、「世界的なエネレギー供給の維持が最も重要な時期に、この決定は、既にエネレギー価格の高騰で混乱している低・中所得国に対して最も悪い影響を及ぼすだろう」と述べた。また、国内のガソリン価格高騰を防ぐため、ジョー・バイデン大統領の指示により、石油戦略備蓄(SPR)から新たに1,000万バレルを放出することを併せて発表した。

原油価格は6月中旬ごろから下落傾向が止まらない。米国エネレギー情報局(EIA)の統計によれば、10月3日時点で米WTIが1バレル当たり84.05ドル、北海ブレントが90.68ドルとなっている。

  • 金価格軟調傾向か。1トロイオンス=1700ドルの安値水準。

金(ゴールド)価格が軟調だ。20日から始まる米連邦公開市場委員会(FOMC)で急ピッチな利上げ継続を決める見通しが嫌気されている。「安全資産」とされる金には追い風となる景気後退リスクが高まっていても、選好されていない。市場は相場反転のきっかけを模索している。NY金市場は先週1トロイオンス=1700ドル前後と、2020年夏以来の安値水準で推移している。もしこの先も金利上昇やドル高が一段と進むなら、1トロイオンス=1500ドル台まで下げ幅を広げることがあっても、何ら不思議ではない。

もっとも、金にはもうひとつ、安全資産として需要という側面があることも忘れてはならない。現時点ではほとんど意識されていないが、このまま株価下落が進み、市場がパニック的な状況に陥るなら、資金の逃避先として改めて注目を集めることも十分にありうる。

今週の経済指標カレンダー
時間 経済指標(イベント) 通貨 重要度
月曜日 – 2022年10月17日
1日中 カナダ – 感謝祭 祝日
8分 鉱工業生産 (前月比) (8月) JPY
8分 第三次産業活動指数 (前月比) JPY
17:00 消費者物価指数 (前月比) (9月) EUR
17:00 欧州中銀(ECB)ルイス・デギンドス副総裁発言 EUR
21:30 ニューヨーク連銀製造業景気指数 (10月) USD
23:30 カナダ銀行企業景況感調査 CAD
火曜日 – 2022年10月18日
00:00 ECBのレーン氏発言 EUR
未定 月次連邦財政収支 USD
04:00 ドイツ連銀総裁ナーゲル氏発言 EUR
05:00 BoC上級副総裁ロジャース氏発言 CAD
06:45 消費者物価指数 (前期比) (Q3) NZD
06:45 消費者物価指数 (前年比) (Q3) NZD
09:05 オーストラリア準備銀行 ブロック総裁補発言 AUD
09:30 金融政策委員会議事要旨 AUD
18:00 現在のドイツZEWの状況 (10月) EUR
18:00 ZEW景気期待指数 (10月) EUR
18:00 ZEW景況感指数 (10月) EUR
21:15 住宅着工件数 (9月) CAD
21:30 対外証券投資 (8月) CAD
22:15 鉱工業生産 (前月比) (9月) USD
22:15 鉱工業生産 (前年比) (9月) USD
水曜日 – 2022年10月19日
00:00 世界乳製品取引価格指数 NZD
01:00 ECBのシュナーベル氏発言 EUR
02:00 ドイツ連銀総裁ナーゲル氏発言 EUR
05:00 ネット長期TICフロー (8月) USD
05:30 米国石油協会 週間原油在庫 USD
10:30 日銀安達理事発言 JPY
15:00 消費者物価指数 (前月比) (9月) GBP
15:00 消費者物価指数 (前年比) (9月) GBP
15:00 生産者物価指数(原材料価格) (前月比) (9月) GBP
18:00 コア指数 (前年比) (9月) EUR
18:00 消費者物価指数 (前月比) (9月) EUR
18:00 消費者物価指数 (前年比) (9月) EUR
未定 10年物独国債入札 EUR
21:30 建築許可件数 (9月) USD
21:30 建築許可 (前月比) (9月) USD
21:30 住宅着工件数 (9月) USD
21:30 住宅着工、変化 (前月比) (9月) USD
21:30 消費者価格指数コア (前年比) (9月) CAD
21:30 コアCPI (前月比) (9月) CAD
21:30 消費者物価指数 (前月比) (9月) CAD
21:30 原材料価格指数 (前月比) (9月) CAD
23:30 原油在庫量 USD
23:30 クッシング原油在庫 USD
木曜日 – 2022年10月20日
00:00 イングランド銀行金融政策委員会委員マン委員発言 GBP
02:00 20年物長期米国債入札 USD
03:00 ベージュブック(米地区連銀経済報告) USD
08:30 連邦公開市場委員会メンバー、ダドリー発言する USD
08:50 季節調節済み貿易収支 JPY
08:50 輸出 (前年比) (9月) JPY
08:50 貿易収支 (9月) JPY
09:30 雇用者数 (9月) AUD
09:30 フルタイム雇用変更 (9月) AUD
09:30 失業率 (9月) AUD
15:00 生産者物価指数 (前月比) (9月) EUR
19:00 EUリーダーズサミット EUR
21:30 失業保険申請件数 USD
21:30 フィラデルフィア連銀製造業景気指数 (10月) USD
21:30 フィリー連銀雇用 (10月) USD
23:00 中古住宅販売 (前月比) (9月) USD
23:00 中古住宅販売戸数 (9月) USD
金曜日 – 2022年10月21日
03:05 連邦公開市場委員会メンバー、ボウマン氏発言 USD
06:45 貿易収支 (前月比) (9月) NZD
06:45 貿易収支 (前年比) (9月) NZD
08:30 全国コアCPI (前年比) (9月) JPY
15:00 小売売上高コア(前年比) (前月比) (9月) GBP
15:00 小売売上高コア(前月比) (前年比) (9月) GBP
15:00 小売売上高(前月比) (前年比) (9月) GBP
15:00 小売売上高(前年比) (前月比) (9月) GBP
19:00 EUリーダーズサミット EUR
21:30 コア小売売上高 (前月比) (8月) CAD
21:30 新築住宅価格指数 (前月比) (9月) CAD
21:30 小売売上高 (前月比) (8月) CAD
22:10 連邦公開市場委員会メンバーのウィリアムズ氏の発信 USD
土曜日 – 2022年10月22日
02:00 ベーカー・ヒューズ社のリグ・カウント USD
02:00 ベーカーヒューズ社発表の米石油採掘リグ稼働数 USD
04:30 米国商品先物取引委員会 英ポンド
投機的ネットポジション
GBP
04:30 CFTC原油の投機的なネットポジション USD
04:30 米国商品先物取引委員会 金
投機的ネットポジション
USD
04:30 米国商品先物取引委員会 Nasdaq 100
投機的ネットポジション
USD
04:30 米国商品先物取引委員会 S&P500
投機的ネットポジション
USD
04:30 米国商品先物取引委員会 豪ドル
投機的ネットポジション
AUD
04:30 米国商品先物取引委員会 円
投機的ネットポジション
JPY
04:30 米国商品先物取引委員会 ユーロ
投機的ネットポジション
EUR
07:00 ドイツ連銀ベーアマン氏発言 EUR
18:00 ラガルドECB総裁 発言 EUR


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