ストレステスト
「ストレステスト」とは、包括的な金融安定化策の一つ。大手金融機関19行に対して、景気がさらに悪化した場合に、貸し出しを維持するために充分な自己資本があるかなど財務状況をチェックする健全性審査のこと。金融市場における不測の事態に備え、危険性を予測し、回避策やポートフォリオの損失額を予測する検査である。
ストレステストは元来、コンピューターシステムなどについての負荷検査や、金融市場のリスク管理手法のことを言う。2009年に米国金融当局が実施した、大手金融機関の資産の健全性を調べる検査を「ストレステスト」と称したことから、金融機関の経営の健全性検査についての用語として一般化した。基本的な方法は、通常では考えられない大幅な通貨相場の変動や経済成長のマイナスなどを想定し、銀行の自己資本比率の低下などが想定される範囲に収まるかどうかを判断する。客観的な審査によって、市場の不安感を解消することが検査の基本目的である。
しかしながら、ストレステストの結果が不合格の場合には、むしろ信用不安を煽(あお)りかねない。また、一般に検査の判断基準は事前には公開されない。これらにより、結果の意図的操作が行われている可能性が否定できないとの見方もある。