ここまで移動平均線の使用方法を学んだので、次に最も使われているテクニカル指標の一つであるMACDについて勉強しましょう。MACDとは、移動平均収束発散法のことで英語のMACDはMoving Average Convergence Divergenceの略語です。MACDのテクニカル分析指標は、移動平均の勢いや、トレンドの方向を識別するために使用されます。MACDは、2つの指数移動平均をモメンタムオシレーターに変換し、両方の長所を明白にします。その結果、MACDは両方の長所を提供することができます。
長所とは、トレンドフォロー(傾向を示したもの)や(相場の勢い)分析のことを指します。MACDの計算は、かなり複雑なので、ここではあまり詳しく説明しませんが、取引を決断のためにMACD指標を使うことは簡単です。では、MACDの使用方法をより詳しく見てみましょう。
前のレッスンで説明された短期移動平均線のように、MACDは赤色のシグナル線と比べて市場の動きに速く反応します。MACDヒストグラムは、MACDとシグナル線間の差を表し、価格のモメンタムのレベルを表します。
市場の動きに対して感受性が高いです。
市場の動きに対して感受性が低いです。
MACDヒストグラムは、MACDラインとシグナル線との間の差です。モメンタムのレベルを測定します。
前のレッスンでは、長期移動平均線と短期移動平均線の交差から、売買サインを探すことを学びました。MACDでは、MACDとシグナル線の交差から買いサインと売りサイン(売買シグナル)を探します。売買シグナルとは、指標の変化による売買の転換点のことで、この転換点に達した時に知らせてくれる機能のことを言います。
買いサイン
MACDがシグナル線を下から上へ抜けたときが、買いサインです。
売りサイン
MACDがシグナル線を下から上へ抜けたときが、売りサインです。
MACDラインは、売買サインのみならず、トレンド(傾向)の可能性も示します(トレンドフォロー)。MACDヒストグラムは、MACDとシグナル線との間の差を表します。MACDとシグナル線が交差する角度が深い場合には、ヒストグラムの棒がより高くなり、交差する角度が浅い場合は、ヒストグラムの棒がより短くなります。MACDヒストグラムは、潜在的なトレンドの強さや弱さ、そしてモメンタム(相場の勢い)の目安になります。MACDヒストグラムが小さくなり、0.00レベルに近づくと、トレンドが終わりに近づいていて、交差が起こる可能性が高いことを意味します。以下でより詳しくこれを見てみましょう。
上昇トレンドに入る可能性大
MACDがシグナル線を下から上へ深く抜けた場合、上昇トレンドに入る可能性が高くなります。ヒストグラムが高くなり、上昇トレンドが強いということを示します。
上昇トレンドに入る可能性は小
MACDがシグナル線を下から上へ浅く抜けた場合、上昇トレンドに入る可能性は低くなります。ヒストグラムが短くなり、上昇トレンドが弱いということを示しています。
下降トレンドに入る可能性大
MACDがシグナル線を上から下へ深く抜けた場合、下降トレンドに入る可能性が高いです。ヒストグラムが長くなり、下降トレンドが強いということを示しています。
下降トレンドに入る可能性は小
MACDがシグナル線を上から下へ浅く抜けた場合、下降トレンドに入る可能性は少ないです。ヒストグラムが短くなり、下降トレンドが弱いということを示しています。
下の画像では、MACDヒストグラムが0.00ラインに近づくにつれMACDがシグナル線と交差点に近づいてくることがわかります(黄色の点で表示)。MACDヒストグラムが0.00ラインに達すると、黄色の点線で示されるように2つの線が交差します。ヒストグラムの範囲が広くなるにつれ、継続的しているトレンドが強くなっていることを示します。上記の説明にもあるように、このような2つの線の交差点がエントリポイントであると考えられます。
MACDを利用すると 、売買サインのみならず、トレンドの可能性が可視化されるだけでなく、トレンドの方向転換の可能性も確認できることです。例えば、MACDが0.00レベルを交差するとき、MACD(12日指数移動平均)とシグナル線(26日指数移動平均)が同じレベルであるため、トレンド方向が変わる可能性があります(トレンド転換のサイン)。以下でより詳しく見てみましょう。
この例では、MACDが0.00レベルを上から下へ抜け、下降トレンドに入る可能性が高いことを示しています。
この例では、MACDが0.00レベルを下から上へ抜け、上昇トレンドに入る可能性が高いことを示しています。
以下の図表では、26日・12日指数移動平均が同じレベルにありMACDが0.00レベルと交わる点があります(黄色の線で表示)。この点は、トレンドが終了するか(トレンド終了のサイン)、または転換し新しい方向に移動する(トレンド転換のサイン)ことを示しています。
市場は急速に動くことがあるため適切な時期に売買の注文を行うことが難しい場合があります。MACDは、売買シグナルを示すので取引のタイミングを知る時に役立ちます。以前に述べたように、MACDがシグナル線と交差するとき、通常は売買注文のタイミングです。以下のチャートを見ると、上昇トレンドや下降トレンド(赤色と緑色の線で表示)が発生するところ、およびMACDがシグナル線と交わるところ(黄色と青色の点で表示)が買いサインと売りサインを示していることが分かります。
MACD指標は、常に浅いゴールデンクロスとデッドクロスだけでなく、深いゴールデンクロスとデッドクロスも表示するということを覚えておくことは重要です。MACD指標に関する問題の1つは、浅い交差は、深い交差に比べると売買シグナルの信頼が低くなるということです。なので、この指標を単独で使用する場合は常に注意する必要があります。
次のレッスンでは、最も使われているオシレーターとモメンタムの指標、RSIを学びます。